なぜ他院修正の手術は敬遠されるのか?執刀医視点で解説します

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名無し
まぶたの修正手術を別の先生にお願いしたけど、嫌がられてるんです
他院修正のアイキャッチ
お直し手術は服のようにはいきません

他院修正(たいんしゅうせい)とは?

まぶたの修正手術が必要。しかし、初回(前回)手術の執刀医とは別の医師にその手術を依頼することがあります。その修正手術を「他院修正」と言います。医療者側視点の言葉です。

厳密に言えば、「他の医師執刀の修正手術」となります。

一般の外科医は、他院修正手術の執刀はしたくありません。なぜでしょう?

理由は二つあります。

  1. 瘢痕組織を剥離する(さばく)ことが難しい
  2. 前回までの手術で何がなされているのかが不明

そのため、仕上がり(結果)を予想するのが極めて難しいのです。

「初回手術」は新しいプラモデルの箱を開けて組み立てるようなもの。モデルの種類のよって難易度は変わりますが、慣れれば仕上がりは想像できます。(もちろん人間は生身の生物ですから限度はあります)

しかし、「他院修正手術」はすでに組み立てられたプラモデルが箱に収まっている状態。これを再び分解して組み立て直しましょうということです。

瘢痕組織の剥離の難しさ

想像してみてください。瘢痕組織をキレイに剥離していく作業とは、プラモデルの接着剤を丁寧に剥がしていく工程です。そして各々のパーツを明らかにしていくのです。とくに「まぶた手術の修正」は糊付けされた封筒を丁寧に破らずに開封するようなものです。

さらに「瘢痕組織の剥離」は出血が伴うというおまけ付きです。

「心労甚だしい」ということがお分りいただけると思います。初回手術3人分よりも気力体力を消耗します。

現実問題、剥離の過程でパーツが破損することもあります。そのリスクを回避するルート、もしくはその損害を最小限にしてかつリカバリーの効く方法を模索します。

開けてみるまで分からない

皮膚切開するまでは「箱に収まった状態」です。したがって、術前情報が極めて乏しく、曖昧なんですね。皮膚を開けてみたら、「うわ!こんなになっていたんだ!」です。

くちゃくちゃに縫合の糸がが絡まっていることもありました。前医の四苦八苦が読み取れます。ベストを尽くして結果を出そうと頑張ったんだなあと感じます。

一方、「何も無い」こともありました。「眼瞼下垂手術されて無いね。皮膚切っただけだね」。でもこう思うようにしています。「少なくとも術者がまぶた手術に精通していない状態で、無理な侵襲を避けだんですね」。実際、このようなケースは修正手術が楽です。

修正手術を得意とする医師とは?

修正手術に「王道」はありません。残された、限られたパーツを利用して再建するのです。足りないパーツで再建するのが現実ですが。

修正手術を得意な医師とは多くの修正手術を行った医師です。修正手術を手がけるたびに彼らの頭に「データベース」が蓄積されていきます。そのデータベースを元にさらに修正技術に磨きがかかります。

トラブルケースは論文になりません。学術集会などでも情報が共有されにくいのです。だから若い医師は修正手術の技術を習得する機会に恵まれません。

もし、あなたが修正手術を希望していたら?

修正を担当する医師に言われるでしょう。

  • 結果は保証できない
  • さらに追加手術を必要とする可能性もある
  • 完璧を求めない

以上のことを十分に納得、理解して臨みましょう🤔厳しい現実です。

実際のモデル患者さん

「また、まぶたが下がってきたんです。左が重いんです」

4年前に眼瞼下垂症手術を受けた50代の女性。「左眼瞼下垂症」「他院術後」と診断しました。

「結果が保証できない」とのコンセンサスを得て、左の手術に挑みました。

手術所見

前回の手術切開部位より皮膚切開(皮膚の瘢痕は切除)しました。眼輪筋の中に縫合の糸の塊が3個埋まっており、これを摘出しました。この糸は瞼板には固定されていませんでした。

挙筋腱膜および瞼板前組織は比較的きれいに保たれており、挙筋腱膜外角をリリースしました。挙筋腱膜は滑り現象を起こしていました。

改めて挙筋腱膜固定を3点で行い、眼窩脂肪が奥へ退縮(引っ込んでいた)していたのでこれを前転しました。

他院修正
左だけ修正
左の眼瞼下垂手術を行った
左だけ修復しました。

 

結果、無事に経過をしました。興味深いのは右の挙筋機能も回復していることです。「挙筋スイッチ」が入ったのです。

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ただし、左の挙上が右に比べてやや大き目であることも気になります(過矯正)。今後注意深く経過を見守る必要があります。

追伸

1週間に2人、3人の「他院修正」をすることがありますが(2018年現在)、私の体力(気力)は限界に達します。「燃え尽きた灰色の明日のジョー」状態です。

金沢のイラスト
かなざわ
でも辛いのは患者さん本人。頑張ります。😤

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切らない眼瞼下垂手術の修正前後の写真

 

>「専門医による、まぶた治療をまじめに考える教室」

「専門医による、まぶた治療をまじめに考える教室」

”まぶた治療のリスクと利益を冷静に評価したいですか?”
当然ですよね。やっぱり後悔したくないですからね。

”講師の金沢の本音を聞きたいですか?”
個人的な体験、解釈、裏話を盛り込みました。嘘偽りのない真実です。まぶた治療に誘導するものでもありません。適性のない人はむしろ治療をしない方向に誘導するくらいですよ。

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*受講資格の項目を満たす方のみが対象です。次のページで確認を。

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