医療の不確実性とは?どうして断定できないの?

「医療の不確実性」

医療トラブルの時に聞くことのあるコトバです。

簡潔に申し上げると

「100%の診断や治療はない」

ということです。

例えば、胸のエックス線写真を見て「100%肺がん」ですとも言い切れないし、「がんがある確率は0%」とも言えません。

「現代の人類の科学」から見ると人体は未知数なのです。

治療に関しても同じ。

「この薬を飲めば治る」と言われても、それも100%では無いのです。人によっては副作用による有害事象の方が強く出て、かえって不幸になるシナリオもあるのです。しかもそのシナリオをあらかじめ100%予測することが出来ないのです。

100%を求めるのは危険

絶対な診断をしたかったら「人体解剖です」。でも、、、患者さんは死んでしまいますよね。

ガンを100%取り除くのなら病巣と転移が予想される部位を脳、肝臓、肺、骨、全部切除です。でもそこに原型をとどめない患者さんのカラダがありますね。

仮に100%の診断が出来たとして、治療方法もこれしか無いという状況で治療をしても、それに反応を示すのは患者さんの人体。その反応にもバラツキがあるのです。よくなる人もいれば、悪くなる人もいる…

インフォームドコンセント(説明と同意)にも限界がある

起こりうるすべての状況を予測して説明することは不可能です。分厚い教科書10冊お渡しして精読していただいても不足です。これから起こる事象は人類が経験する、初めてのことである場合もあるのです。

あらかじめ副作用が懸念されるケースもあります。そこで、他の治療手段(無治療も含む)も合わせて検討されるのですが、その時点で、その限られた情報の中でメリットとデメリットを天秤にかけ、「より良い」と思われる選択をするのです。

「6割の人には有効、3割に人には無効、1割の人はむしろ悪化」とうこともあります。

それでも集団を相手に医療をすると「有効な医療」とされるんです。

かなざわ
患者さんからしたら自分は唯一人。「治るのか、治らないのか?」二つに一つですよね。お気持ち察します。

やってみて無効だったら、「この治療はだめだ!」ですよね。でも…

過去に遡っても断定できない

起こった事象に対しても「あれが原因だった」とも言い切れないのです。あの治療のせいで悪化したのかもしれないし、治療しなくても具合が悪くなったかもしれない。

逆に「あの治療で治った」とも言い切れず、治療しないでも治ったかもしれないのです。

医療というのはすこぶる曖昧なものなんですね。

あなたにできる「医療の不確実性」に対する対処方法についてはこちらを参照してください。

まぶた治療でも医療の不確実性はある

同じ診断、同じ治療をしても、仕上がりの左右差や再発、様々なカラダの反応が起こります。

医療者として「医療の不確実性」に対する対処としては、想定される反応に対する「オプション」を極力残しておくことです。

  • 修正のための追加手術がしやすい
  • 20年40年経過してからも再手術ができる

は私が大事にしているポイントです。

選択肢を残しておくことです。極力組織を残しておくことです。

実際のモデル患者さん

眼瞼下垂術前後の写真

眉位置が下がらないこともあるのです。

眼瞼下垂(まぶたのたるみ)の患者さんです。眼瞼下垂のサインである、「眉毛挙上」が見られます。おでこのチカラで眉を上げ、視野を確保しようとするバックアップシステムですね。

眼瞼下垂の治療をしたら、バックアップシステムが引き下がります。眉位置が下がってまぶたの皮膚が垂れ下がり、覆いかぶさってくることが予想されます。するとやはり視野が狭くなるのです。

この現象に対する対処方法は?

「余った皮膚のたるみ取り」です。

「今」やりますか?

結論は「いいえ」。経過を見てから。

理由は、「眉位置が下がること」は絶対の現象では無いからです。位置が変わらないというシナリオもあるのです。それをあらかじめ100%予測することが不可能なのです。

「おでこのしわは取れませんでした〜〜〜」と言われることも度々あります。

この場合、「眉位置が変わらないというシナリオ」で治療プランを組み、もし、変わってしまったらその変化に対して改めて対処することを提案します。

このモデル患者さんは、眉位置が変わらないというシナリオを想定し(もちろん眉位置が下がることも想定されます)、初回手術で皮膚のたるみ取りをしませんでした。

結果、たるみ取りをしないで正解でした。これがもし皮膚切除をしっかり併用していたら…眉と目の間の皮膚がつっぱって目が開きにくくなってしまうのです。(しかも取りすぎた皮膚は戻せません。実際こういうトラブル患者さんが来院されることもあります)

もし、眉位置が下がってしまったら、改めて、残しておいた「皮膚切除」というオプションを遂行するのです。

このほうが安全でしょう?

医療の不確実性を念頭に入れたデザインです。

まぶた治療の啓発活動目的に写真を使用することに同意いただきました。ご協力ありがとうございます。

あとがき

近年は人工知能の発達が早く、目が回りそうですね。医療の世界にも人工知能はグイグイ入り込んでくると思います。

特に「診断」に関しては人間よりもより正確に(100%は無いけど)早くなされるでしょう。患者さんにとっては歓迎すべき変化です。

ただし、意思決定については人間が行う必要があります。治療するかしないか。不確実性を多く含む検査や治療が選択肢にあるのです。

「この治療は通院でもできるけど成績は劣ります。入院治療すれば成績は上がります、が絶対ではありません。」

というシチュエーションで判断が求められるのですから。自分のモチベーション、社会的ポジションや家族環境など、複合的な要因から患者さん自身が選ぶのです。

手術についてもロボットが力を付けてくるでしょうね。まぶた治療もロボットができるようになれば、担当医師の持つ技術の高低による手術の質のばらつきが解消されます。これは歓迎すべきことです。応援したいですね。

眼瞼下垂術前後の写真

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