9月に東京ドームで催される日本美容外科学会の発表準備をしています。網羅的に患者さんの記録を見ていると術後経過などがありありと思い出されます。
そんな中で眼に留まったもの。
まぶたの術後の霰粒腫(さんりゅうしゅ)です。まぶた手術といえば、眼瞼下垂症手術ですけどね。
いわゆるしこり、ものもらいです。(ものもらいには麦粒腫というのもあります。霰粒腫は感染なし、麦粒腫は感染があります。)今回の話は非感染性のものです。
マブタの分泌腺であるマイボーム腺が炎症を起こして肉芽腫を形成します。手術侵襲によって生じると考えられます。
無症状の場合もありますし、マブタのコロコロする感じや異物感が生じることもあります。術後数ヶ月経ってから現れることもあります。
症状が強くなければ、無治療で様子をみます。症状がある、もしくはサイズが大きい場合は、ステロイド点眼や皮膚切開をします。
数えた範囲内で470マブタの中で霰粒腫を確認したのは4マブタ。切開をしたのは1マブタでした。
しかし、霰粒腫は無症状に経過していることもあるので、実際にはもう少し頻度は高いと考えられます。
マイボーム腺は瞼板に分布します。故に瞼板腺(けんばんせん)とも呼ばれます。
マブタの瞼板に糸を通す現在の術式では、この合併症は避けられないものの一つです。
手術後にごろごろしこりを感じたら相談して下さい。
(2015年6月4日)