このモニターさんをご覧ください。右が眼瞼下垂なのはすぐにわかりますね。もう1つ注目していただきたいのが顔の表情筋のバランスです。ほうれい線の深さを見てください。
右のほうれい線が深いです。唇の先を見てください。
口先が右に偏っています。
眼瞼下垂になると表情筋がこわばる
眼瞼下垂で
- 眼輪筋
- 上唇鼻翼挙筋
- 前頭筋
の緊張が強くなります。
ミュラー筋への負荷が顔面神経の興奮をもたらす
眼瞼下垂になるとミュラー筋への負荷が増え、ミュラー筋センサーが間接的に顔面神経核を刺激します。
その結果、表情筋の緊張が強くなると考えられます。(仮説)
左右差のある眼瞼下垂の場合、眼瞼下垂が重度な方の
- ほうれい線が深い
- 頬が盛り上がる
という所見が見られます(個人差があります)。
ミュラー筋を刺激すると顔のシワが深くなる
睨むような表情を日頃からしていると顔のシワが深くなります。
顔のシワは表情筋が作り出します。
そして、睨むような表情はミュラー筋を刺激します。眼瞼挙筋(まぶたを持ち上げる筋肉)と眼輪筋(まぶたを閉じる筋肉)の綱引きが起こるからです。
ミュラー筋が刺激された結果、表情筋が緊張し続けてしまうのです。
表情シワの予防のために
- 眼瞼下垂の進行を極力遅らせること
- 睨むような表情をしないこと
- 表情筋をときおり弛緩させること
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加齢によって表情筋は衰えません。四肢の骨格筋は衰えるのですが、表情筋はなぜか衰えないばかりかこわばっていくのです。
顔をリラックス
松尾清先生(『まぶたで健康革命』)によるリラックス方法です。
奥歯を噛まないように浮かせ、目をトロンとさせて下方視します。これでミュラー筋が緩みます。
ちなみに私金沢はこの時に表情筋が緩むのをイメージします。顔の皮膚が剥がれ落ちるイメージです😅
間違っても、表情筋の筋トレはしないでください。
表情筋を緩める外用薬やサプリはありません。
注射薬としてボツリヌス毒素療法があるくらいです。
今回のモニター患者さん
右の眼瞼下垂に対して、右の挙筋前転法を行いました。結果的に、表情のバランスが整いました。
なお、表情筋バランスを整える目的で眼瞼下垂症手術を行うことはありません。そこまで意図して手術をしてもシナリオ通りに行かないことが多いですからね。悪しからず🙌