眼瞼下垂症治療をするにあたって、ダウンタイムは避けられません。
スケジュール調整にもおおいに影響を及ぼします。

眼瞼下垂治療を受けた患者さんたちへのアンケートで、
「最も辛かったこと」がこのダウンタイムです。

痛々しい…けど…

本人は全然痛みを感じていないのです。ズバリ見た目の問題。

【ダウンタイムとは?】

眼瞼下垂症手術後は、まぶたが腫れます。内出血で青くなることも。
腫れや内出血が自然に退いていき、落ち着くまでの期間(日数)を「ダウンタイム」といいます。

痛々しい姿なので、人と会う職業の人はお仕事も制限されます。(本人は痛くもかゆくもないのですが)

「社会復帰するまでの期間、もしくは人前に出られるようになるまでの期間」とも言えます。

たとえば、工場のとある機械が故障してラインが止まってしまえば、その機械が治るまでの間は工場がお休みになります。このお休み期間を「ダウンタイム」というそうです。これが語源だったのですね。

【腫れや内出血の経過は?】

2,3日が腫れのピークで、1週間後には半分ほど腫れが退きます。

さらに、もう1週間かけて7,8割ほど腫れが退いていくのです。

その後は徐々に腫れが退いていき、3ヶ月から6ヶ月程度(長い人は1年程度)で最終形に落ち着きます。

【ダウンタイムは何日間?】

社会復帰するまでの期間は「何日間」とは断言できません。

あなたの生活環境によります。

• 営業などのお仕事:少なくとも1週間は支障あり。痛々しい顔になるからです。
• 屋内でのデスクワーク:翌日からでもOK。
• スーパーへの買い物:サングラスを着用すれば翌日からOK。
• 運動:1週間は控えるべき。

【ダウンタイムを短くするために出来る3つのこと】

(1)「頭に血がのぼる様な行為を控えること」
(2)「創部への物理的な刺激を控えること」
(3)「患部を冷やすこと」

(1) 頭に血が昇らないように。

• はげしい運動をしない
• お酒を飲まない
• 入浴して暖まらない

一週間程度は極力おとなしく安静にしていましょう。上半身を起こした状態のほうが頭に血が昇りません。

日中はゴロゴロ横になっているよりも、起きて活動したほうがよいでしょう。テレビを見たり、読書をして過ごします。

ムリをしない範囲で、スーパーに買い物に出かけたり、職場でデスクワークすることは差し支えないでしょう。

でもせっかくですから、これを口実に家事をサボってみては?

(2) あなたにまぶたを擦る癖があったら要注意です。

縫合して連結させた組織同士の癒着が、こすることで外れてしまう可能性があります。縫合したキズが開く危険性もあります。

きずは愛護的に優しく扱いましょう。洗顔で軽く触る程度は問題無いですよ。

(3) 濡らしたガーゼやハンカチで直にまぶたをクーリングするとよりよいでしょう。

冷却は腫れの程度をおさえます。ヒリヒリ感やかゆみも軽くなります。
手術後1週間経過したら運動や入浴、飲酒を解禁です。
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なお、真逆をやった人がいます。

私の病院関係者でした。手術して4日目にマラソン10キロに出場。やはりダメです!危険です。

1週間後、抜糸の日…傷の癒合が弱かったのを覚えています。

手術4日目は腫れが強い時期。ですが本人は痛くも痒くもないし、むしろカラダが軽く感じられる時でもあります。ついつい身体を動かしたくなってしまいますが自重しましょうね。

ダウンタイムの対処法について、さらに詳しく知りたい方はこちらのページ

ちなみに私金沢が眼瞼下垂の手術を受けた時は年末でした。およそ1週間のブランクで診療を再開。縫合の縫合の糸がまぶたに付いている状態でした。糸は目立たないものの、やはり腫れはわかります。同僚には即バレでした。


いかがでしたか?できればダウンタイムは短くしたいですよね。

• 「ダウンタイム」という言葉はご存知でしたか?

• ダウンタイムは人によることは知っていましたか?自分ならどのくらいの期間になりそうですか?

• ダウンタイムを短縮するためにできること、避けるべきことがあることご存知でしたか?あなたは守れそうですか?

次回、4日目の眼瞼下垂LINE講座は

 「知っておくべき、手術の併発症(合併症)・リスクは?」です。
医療行為に100%安全はありません。ベストを尽くしても、一定の割合で避けることのできない、不都合な事象が起きます。

それぞれの対処法をあらかじめ把握しておくと安心です。
一般向けには非公開にしている、この講座受講者限定の経過写真をご覧ください。
詳しく見ていきましょう。

あとがき

注射で気分が悪くなったことはありますか?
中学校の朝礼の時、校長先生の話が長くて貧血で倒れたことはありますか?

この現象を血管迷走神経反射と言います。脈拍と血圧が下がるのです。気の遠くなる感じがしたり、吐き気を覚えることも。少し横になって休めば回復します。

わたし自身は、一度だけ経験があります。
医学生時代に実習で採血の練習をしました。同級生に腕を差し出したのですが、うまく採血できませんでした。ピルピルっと刺し口から血が漏れてきます。

自分の腕を眺めていた私は「平気平気!」と強がっていましたものの、だんだん血の気が退いていくのを自覚しました。

「だめだ、ここで気絶してはならない!」と歯を食いしばりました。しかし努力の甲斐なく、同級生から「金沢。顔青いよ…」と指摘されたのでした。

迷走神経反射は気合いでは克服できないことが分かりました♪(´ε` )
我慢せずに一刻も早く横になって休んだ方がいいのです。