2005年、静岡で初めて眼瞼下垂の手術を担当した時です。どんよりしていた患者さんの表情が術後、スイッチが入ったようにぱっと明るくなりました。診察室のムードが明らかに眩しくなったのです。
その姿を見たとき、私は、
「あ、私の仕事はこれなんだ」
と思いました。
その患者さんが、私にとっての第一号でした。それから20年以上、静岡でまぶたの診療を続けています。
途中、大学院へ進学しました。当時は研究に集中するなら、現場の診療をいったん止めるという選択肢もありました。
それでも、静岡の外来は残しました。月に2回。パリへ留学した数か月を除き、静岡へ通い続けています。
このページでは、静岡厚生病院で相談できること、初診当日の流れ、手術後の通院について説明します。
静岡で診療を受けること
眼瞼下垂の手術は、手術当日だけで終わる治療ではありません。
手術前に、まぶたが開きにくい原因を診る。手術の適応を判断する。
抜糸をする。
手術後の経過を確認する。数か月後の動きや形を見る。
何か気になることがあったとき、再び受診できる距離も大切です。
東京で治療を受けることも、ひとつの選択肢です。ただし、東京へ行かなければ診療を受けられないわけではありません。
静岡で、術前から術後まで継続して診てもらう。その選択肢があることを、まずほんの少しだけ知っていただけたら嬉しいです。
静岡厚生病院で相談できること
主に、次のようなまぶたの病気を診療しています。
- まぶたが上がりにくい眼瞼下垂
- 上まぶたの皮膚がかぶさり、見えにくい状態
- さかさまつげ
- まぶたのできもの
- 自費診療による眉下切開
眼瞼下垂と呼ばれる状態でも、原因はひとりずつ違います。
皮膚がかぶさっているのか。
まぶたを持ち上げる組織が緩んでいるのか。
コンタクトレンズや目薬の影響が加わっているのか。
過去の手術による変化があるのか。
診察では、「眼瞼下垂らしいから手術」とひとくくりにはしません。
何が見えにくさを生んでいるのかを確認し、保険診療の対象になるか、どの手術が考えられるか、手術をしない選択も含めて説明します。
高血圧、糖尿病、抗血小板薬や抗凝固薬の内服がある方も、最初から「大丈夫」とは断定せず、病状や内服内容を確認したうえで、手術が可能かを判断します。

静岡厚生病院
20年以上も担当医師が変わることなく静岡県の眼瞼下垂症治療を継続しています。静岡での診療予約・機能改善のご相談はこちら。「まずは保険が適用されるか知りたい」というご相談もお気軽に。
第1・3木曜日 14:00~16:00(完全予約制)に診療を行なっております。
- 主に眼瞼下垂の保険診療、眼科的な診断に基づいたまぶたの疾患治療。
- アクセス:
- 所在地:静岡市葵区北番町23番地
- 主な利用交通手段:静岡駅前から、静岡鉄道井の宮線8番バス:静岡厚生病院前バス停下車
- 駐車場有(公式ホームページ確認)
- 予約: TEL 054(271)7177(代)(ご予約・お問い合わせ受付時間:14:00~16:00)https://ja-shizuokakosei.jp
診療日は変更になる場合があるため、予約時に最新の日程をご確認ください。
診療カレンダー
WEBでお問い合わせ
2-3日以内を目処に回答します。迷惑メールに入ってしまう場合もございますので、4日以上返信がない場合は再度お試しください。
LINEでお問い合わせ
2-3日以内を目処に回答します。
診療カレンダー
実際の流れ
まずは電話で診察の予約をとりましょう。病院代表へ電話。「皮膚科・形成外科で、金沢医師の予約を取りたい」とお申し出でいただくとスムーズです。(小泉医師は第2木曜日です)
予約: TEL 054(271)7177(代)(ご予約・お問い合わせ受付時間:14:00~16:00)https://ja-shizuokakosei.jp/contents/NOD15/
初診当日の流れ
皮膚科・形成外科外来の受付で問診票などの手続きの後、お声がけして診察室へご案内します。
まず現在の症状と希望を伺います。
診察では、まぶたの開き、皮膚のかぶさり方、左右差、まぶた全体のふくらみや陰影を確認します。
目元のメイクは落とすか、できるだけ少ない状態でお越しください。カラーコンタクトレンズやサークルレンズは、外した状態で診察します。
手術の適応があり、ご本人も希望される場合は、次の説明へ進みます。
- 考えられる手術方法
- 手術で改善を期待できること
- 改善が難しいこと
- 術後の腫れや合併症
- 手術日と通院予定
手術日を相談するため、予定の分かる手帳やスマートフォンをお持ちください。
その後、説明用紙をお持ちいただいた上で待合に移動します。再度説明用紙に目を通し、質問事項をまとめていただきます。改めて診察室へご案内するお声がけをします。そこで、質問に対する回答、および病院のルールなどの説明をします。
最後に金沢の手で撮影を行います。白い板(レフ板)をお渡しするので、胸の前に水平に(お盆を持つように)かかげてください。
以上、初診日に行うのは、診察、手術適応の判断、日程の相談、手術説明です。採血などの術前検査は、後日行います。
手術室に入ったら
手術室に入る瞬間は、誰でも緊張します。
指先に酸素センサーを装着すると、自分の鼓動が電子音になって聞こえてきます。
広い手術台の周りには、これから使う器械が並んでいます。
患者さんにとっては初めて見る景色でも、スタッフにとっては毎回確認している手順です。手術中もスタッフがそばにいます。
手術後の通院
手術後は、状態に応じて翌日に診察します。翌日診察を省略する場合もあります。
その後はご自宅で処置を続け、約1週間後に抜糸します。
術後3か月を目安に経過を確認し、必要に応じて半年後にも診察します。
手術直後のまぶたは、おろしたての革靴に少し似ています。最初は硬く、動きに馴染まず、違和感があります。しばらく履くうちに革靴が足の動きに馴染むように、手術後のまぶたも、数か月かけて腫れや硬さが変化し、やがて身体の一部にとけ込みます。
一週間後の見た目だけで完成を判断せず、時間の経過を一緒に見ていきましょう。
- 来院(初診手続き)
- 診察
- 眼瞼下垂手術適応と診断(ここは最低限必要なステップ)
- スケジュール相談(手術日決定)
- 手術の詳細な説明とオリエンテーション
以上が来院日にすること。スケジュール帳を持参することを忘れないでください。そして後日、術前検査(採血)。
来院して手術。会計して帰宅。
手術室に入る瞬間は誰だって怖いですよね。でも、常にスタッフが横に立ち、あなたを見守っています。
その後、自分でケアを1週間。
抜糸。
経過観察。必要により半年後も。
来院して手術。会計して帰宅。
静岡でのまぶた診療の経歴
「医療における経験値の本質。 それは、単なる手術の回数ではなく、時間の経過そのものだ。」
なんていったらどう思います?
小泉正樹医師とともに、静岡厚生病院でまぶた診療を始めた2005年。キャリアの初期に、ある決断を迫られました。大学院への進学です。研究に没頭するなら、現場の診療はいったんストップさせる。それが当時の業界の常識でした。
それでも、静岡の診察室を離れるという選択肢はありませんでした。
月2回の診療を死守し、パリ留学の数ヶ月を除いて、ずっとこの街のまぶたを診続けてきた20年。なぜ、そこまで執着したのか。
それは、長い時間をかけてはじめて見えてくるものがあるから。
まぶたの形や組織の質は、誰ひとりとして同じではありません。その一人ひとりの経過を見守り
続けたかったから。
件数じゃなく、年月なんです。
私たちが歩んできた、静岡厚生病院とこの街の風景。 よろしければ、少しだけ覗いてみてください。
実際の治療例
コンタクトレンズ眼瞼下垂
この方には、ハードコンタクトレンズを30年間使用してきた経歴がありました。
診察では、皮膚の余りではなく、まぶたを上げる側の組織、つまり後葉の機能低下が問題であると判断しました。
皮膚は切除せず、前葉と後葉のバランスを整え、眼窩脂肪を再配置しました。
写真は術後3か月です。
- 皮膚切除なし
- 前葉と後葉のリバランス
- 眼窩脂肪の再配置

費用は健康保険適用で5万円(3割負担)。
PAP(プロスタグランジン関連眼窩周囲炎)による眼瞼下垂
典型的な緑内障治療薬によるまぶたの変性(皮膚の色素沈着と落ち窪み、そして眼瞼下垂)が見られました。
単純な加齢変化だけではなく、緑内障治療薬に関連したまぶた周囲の変化を想定する必要があります。
皮膚は切除せず、前葉と後葉のバランスを整え、眼窩脂肪を再配置しました。術後早期のまぶたを支えるため、眉側から一時的な吊り上げも行っています。
写真は術後3か月です。
- 皮膚切除なし
- 前葉と後葉のリバランス
- 眼窩脂肪再配置
- 吊り上げサポート(眉でプルアウト)

緑内障治療薬の点眼で眼瞼下垂になることがあります。加齢とは別の要素による眼瞼下垂です。手術は有効。
費用は健康保険適用で5万円(3割負担)。
※初診料、再診料、処方薬代などは別途かかります。
※保険適用手術は視機能の改善を目的とするものであり、美容的な仕上がりを保証するものではありません。
合併症・リスク
| 短期的なもの | 腫れ、出血、感染、傷の離開、目の閉じにくさ、視力・乱視の変化、二重の線の乱れ |
| 長期的なもの | 眼脂(めやに)・涙の増加、眩しさ、まぶたの腫れぼったさと赤み、縫合糸の露出、稗粒腫・霰粒腫・硬結、目の違和感・ツッパリ感、皮膚の痺れ・痛み、目立つ瘢痕、低矯正・過矯正 |
| 仕上がりに関するもの | 左右差、眉毛下垂・顔貌の変化、傷の凹凸、まぶたの見かけに対する違和感、再発、皮膚のひずみ、眼瞼痙攣の顕在化・悪化 |
あとがき:静岡から始まった
「あ、私の仕事はこれなんだ」
術後、パッと明るくなった患者さんの表情と、心底喜んでくださった姿を見た瞬間。進むべき道が、明確に決まったのです。
今から20年以上前。静岡で、初めて眼瞼下垂の手術を受けてくださった、私にとっての第一号の患者さんでした。
当時はまだ「眼瞼下垂」という言葉が、世の中に1ミリも認知されていない時代。「本当にこれでいいのか」と、未来が見えない不安もありました。
しかしあの時、患者さんがくれたのは、エネルギーの詰まった小さな種でした。
それから20年。学会での啓発活動や日々の診療を通じて、その種は、太い幹を持つ大きな樹へと育ちました。
手術によって、その人の毎日を少しでも明るくできる余地があるなら、実りをそのために使おう。
それが私にとって、あの日の患者さんと、この静岡という場所への、いちばん長い恩返しなのかもしれませんね。

