子供が転んで顔を打撲。まぶたを怪我しました。キズになっちゃう?という相談。
よく起こる事件です。まぶたやまゆのあたりを切ってしまう。転んで打撲するとパクッと切れちゃうんですよね。
目周りの裂傷(ぱっくり切れたキズ)の対処法(特に子供)
「就学前(小学校に上がる前)の子に多い怪我です。頭の重い1歳から3歳までが多い印象です。縫わなきゃだめでしょうか?」
という相談者さん。
結論から言うと、テープ固定で済ませることが多いです。(注:金沢個人の見解)
なぜか?
というのも、縫合しなくてもまぶたは綺麗に治りやすいからです。まぶたの皮膚は張力が強くないのでテープで十分に固定できるのです。
私だったら、自分や自分の家族が同様の怪我をしたら、まずはテープ固定にしますね。
テープ固定
利点
- 局所麻酔の注射が不要
- 抜糸が不要
- 子供が落ち着きやすい(負担が少ない)
デメリット
- 傷の中の観察が不十分
- テープが剥がれたら貼り直す必要がある
- 顔を洗うときは慎重にする必要がある
縫合
利点
- 麻酔をするので、傷の中をしっかり観察(異物がないか)できる
- 解剖学的にずれのないように修復することができる
- 翌日から洗顔・洗髪を大胆にできる
デメリット
- 子供の場合は全身麻酔が必要。もしくは寝技で押さえつける必要あり
- 抜糸が必要。このときも場合により寝技が必要になる
- 縫合の糸の痕を残す
- 下手な外科医だと治癒に時間がかかる
トラウマを作らないための方法として、全身麻酔があります。以前から言われるような危険性は極めて少ないといっていいでしょう。しかし入院が必要。親の時間的負担もあります。本人にしても、採血検査などもあり、やはり精神的な負担がないとはいい切れません。現実問題として、まぶたを切ったくらいで「全身麻酔」ができる環境はないのが現状です。
縫合の痕とは?
suture mark(スーチャーマーク)と業界では呼びます。

形成外科医が丁寧に縫合しても縫合の痕はできてしまうものです。そして、これは修正が困難なのです。「大きくなったら傷なおししようね」ができません。テープ固定の”線の傷痕”なら可能ですが。

出典:12 Celebrities With Scars And Deformities
ね。縫合の糸の痕がわかるでしょう?
傷の中の観察は必要か?
理想はイエスです。「屋外の砂利のあるところで転んだ」「鉛筆を持って転んだが、先端が行方不明に」という状況では観察が必要です。異物を体内に残してしまうからです。
しかし、屋内で転んだ場合は異物の混入の確率は低いと判断します(ゼロではないけど)。「何か異状が起こったら対処しましょう」という約束で、観察は十分には行わないこととなります。
異物が残るとどうなる?
体内に異物が入ると感染(もしくは異物反応)を起こすことがあります。しかし、まぶたはそのような反応が起こりにくいという特徴があります。
何十年してから異物が摘出されるというケースもあるくらい。

私の診療経験では、2センチほどの箸の破片が出てきたことがありました。患者さんが「箸の先が見当たらないんです」といって来院。眼窩の奥に垂直に入り込んで1週間。「なにも症状なし」というおまけ付き。
不適切な縫合とは?
オーバーラップする縫合と、おおきな幅(バイト)でかける縫合です。皮膚同士がオーバーラップすると傷はくっつきません。縫合の際、皮膚の断面同士が合わさっていることが必要なのですが、皮膚の断面が潜り込んでいると治癒が遅れます。
冒頭の相談者さんはどうすべき?
ポイントは
- 傷が気になる。とくに縫合の糸のあと
- 学校上がる前の幼い子供
診察をしていないので、あくまで与えられた情報のみに基づいた一般論として検討してみます。いますぐに、全身麻酔で治してあげるべきか否かとなると、私の回答は「待つ」になります。本人が傷跡を「治したい」という気持ちを持つようになったら治療を検討するのがよいでしょう。そうなれば局所麻酔で日帰りで可能ですからね。
もっとも、保護者さんの気持ちもわかります。自分の監督責任としての至らなさを責めるんですね。
まぶた(眉も含めて)に無傷な人って少数派です(1000人以上の自検例のうち)。そして、その傷を作ったのはほとんどが本人に記憶がない幼少期です。受傷時の監督者(主には保護者)を責めている人は1人もいませんでしたよ。
「え、傷ありますか?」という人。
「らしいですね。子供の時に椅子から落ちたそうです(^◇^)まったく記憶がないですが」という人。
「ああ、傷があると親に聞きました。右です。あ、いや左だったっけな?」という人。。。。
こんな感じです。心配無用です😄

