眼瞼下垂診断の「眉ブロックテスト」は何を評価しているのか?

眉ブロックでの診断

「眉が上がらないように指で押さえた状態で目が開くかどうか」

これが「眼瞼下垂のチェック方法」のひとつでしたね。

さて、この「眉ブロック」は何を見ているのでしょうか?

眼瞼下垂には前葉下垂タイプ後葉下垂タイプがあります。そう、まぶたには厚みがあり、前葉と後葉との2枚のプレートからなるのでしたね。

真の眼瞼下垂では後葉が下垂しています。偽の眼瞼下垂では前葉が下垂しています。

  • 真の眼瞼下垂:挙筋腱膜がうまく機能しなくなった状態(退行性、腱膜性、筋力の低下など)
  • 偽の眼瞼下垂:皮膚側のたるみによる視野の障害(皮膚弛緩、眼輪筋の拘縮・けいれんなど)

回答は、

「眼瞼下垂」は前葉の下垂、後葉の下垂、もしくは両方の下垂です。眉ブロックテストは、そのいずれかに該当するか否かの診断です。
「え?前葉の下垂か後葉の下垂かを見分けられないの??」
そうなのです。実はザックリ診断だったのです。

まぶたはロールスクリーン

上から吊り下げるロールスクリーン、タペストリー、ブラインドカーテンなどをイメージしてください。

ロールスクリーンの例え
壊れて巻き上げられない状態

まぶたは、表のロールスクリーンと奥のロールスクリーンの2枚構造と考えてください。

奥のロールスクリーン(後葉)が壊れて巻き上がらない状態が真の眼瞼下垂

表のロールスクリーン(前葉)が伸びて巻き上げきれない状態が偽の眼瞼下垂

表のロールスクリーンが壊れると、バックアップシステムが発動します。バックアップシステムとは前頭筋です。眉を持ち上げる動作です。

すると表のスクリーンが持ち上がり、目が見えるようになります。効果的なバックアップシステムですね。

一方、後葉(奥のスクリーン)が壊れた時もバックアップシステムが発動します。

しかし、表のスクリーンを持ち上げても目は見えません。つまり前頭筋バックアップシステムが十分に機能しません。

厳密には前葉と後葉とは緩く連結しているので少しは目が開きます。また、前葉のまつ毛より(ふたえ幅の領域)は挙筋腱膜が連結しています。だから前葉は挙筋と前頭筋で持ち上げられます。このため、真の眼瞼下垂で前葉も上がりにくくなります。その点で前頭筋バックアップシステムはある程度有効です。

これが真の眼瞼下垂に対する前頭筋バックアップシステムの限界です。

真の眼瞼下垂
おでこの力をフル動員しても目が開かない

改めて、前頭筋バックアップシステムを機能させない状態を考える

これが「眉ブロック」の状態です。

この場合、2枚のスクリーンがきちんと機能している場合にのみ、目が見える状態となります。

つまり、「眉ブロックでまぶたが持ち上がらない」ということは、

  • 前葉の下垂

もしくは

  • 後葉の下垂

もしくは

  • 前葉後葉の2枚とも機能不全

ということなのです。

眉ブロックテストで目が開いていれば、「前葉の下垂もないし、後葉の下垂もない状態」と言うことです。

繰り返しますが、前葉タイプか後葉タイプかの判別はできないのです。

なので、もうすこし踏み込んだ評価が必要なのです。

仮にテストを付け加えるとすれば、「眉挙上テスト」でしょうか?

眉を挙上した状態(前葉の下垂がない状態)でぱちっと目が見開いていれば奥のスクリーンは機能していると言えます(理論的にはね)。この点は検証が必要です。

なお、診察時には担当医は診て判断できます。見極めは診察が必要かな?

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