眼瞼下垂手術の動画
「眼瞼下垂手術を勉強し始めた」という若手形成外科医師向けです。テキストとにらめっこしても、なかなか理解しにくいのが外科手術の世界です。
もしくは、眼瞼下垂症の治療を検討している人で、より深く理解したいと言う人向け。この流れを知ると、手術を受けている最中(何も見えなくても)も何をされているのかがよく分かるようになるでしょう。
参考:
3部に分けて動画を作成
- 皮膚切開〜挙筋腱膜を露出
- 挙筋腱膜の処理
- 腱膜固定〜皮膚縫合
全て大事なプロセス。一般的な形成外科医が行なっている、標準的な(多分😅)眼瞼下垂症手術(挙筋前転法)です。
動画は上下逆さまです。これは手術者の視点です。患者さんの頭の上から覗き込むカタチですね。
(1)皮膚切開〜挙筋腱膜の露出まで
メスの入る瞬間を執刀開始とします。だからこの段階は局所麻酔は終わっています。挙筋腱膜を露出するまでに、皮膚、眼輪筋、隔膜前脂肪と隔膜を剥離します。
眼輪筋の下の隔膜を開くと、みずみずしい眼窩脂肪がプリッと現れます。この下に挙筋腱膜があるのです。
(2)挙筋腱膜の処理
より専門的な内容です。挙筋腱膜を固定する前の処理です。腱膜の偏りをなおし、挙筋腱膜が均質な「面」で機能するようにします。
ベッドのシーツが外れてずれてしまったら、一度外してバサッとシワを伸ばして乗せなおしますよね。そんなイメージです。
(3)腱膜固定〜皮膚縫合
挙筋腱膜を瞼板に固定します。この瞬間に眼瞼挙筋の力がフルに伝わるようになります。このケースでは3点固定しています。1点固定するごとに、目の開き加減と目の輪郭を確認します。
腱膜の固定が終わったら、皮膚を縫合して終わります。
私ならではのスペシャルな手技があるわけでもありません。高度な先進医療器具が使われているわけでもありません。シンプルな手術器械(ピンセットとハサミ、持針器など)と電気メス(正確には高周波ラジオ波メス)です。
患者さんの眼瞼下垂の程度、年齢、栄養状態、骨格もろもろに大きく差があります。手術の際の視野もそれによってだいぶ変わってきます。
この記事が作成されたのは2019年ですが、この動画は2017年に撮影されたものです。術式はアップデートされます。内容は少しずつ変わると思われます。
動画使用にご協力いただきました。ありがとうございました。
追伸
いよいよ夏に突入ですね。この記事と動画の作成はノートパソコンを使用しましたが、キーボードが熱を持つようになりました。指先に熱が伝わってくるので指を休ませながら作業しています。
デスクトップ型がいいのかなあ。