依頼原稿(特集)のあった雑誌が発刊されました。PRです。
私の記事のタイトルは『機能再建を中心とした眼瞼下垂症手術』です。
眼瞼下垂治療を行うにあたって、部位の診断と質的診断を!
ポイントは、
「その部位と器質的変化や因子を個別に評価すること」です。
形成外科で扱う領域は前額部と眼瞼(前葉、後葉)です。前葉は皮膚と眼輪筋、後葉は挙筋(腱膜)、ミュラー筋、瞼板(結膜)ですね。
各々の部位に眼瞼下垂の原因となるものが隠れています。それをパーツ毎に評価すべきなのです。
そして、
開閉瞼を強めるもの、抵抗になるものが同時に併存し、それらの機能の総和として開閉瞼機能が顕在化するのです。
開く力が「8」、閉じる力が「5」だと、表に見えるのは「3」です。
目に見える(顕在化した)目の開き度合いを「6」にしたいとしたら??
その場合、開く力を「11」にすればいいですね。
それ以外の手段は
そうです。開く力はそのままにして、閉じる力を「5」から「2」にすればいいですね。
自動車のサイドブレーキがかかったまま、かつ空気の抜けたタイヤでアクセルを踏むよりも、
サイドブレーキを解除して、タイヤの空気を適切に入れた状態で走る方が燃費が良いのは明らかですよね。
つまり、
眼瞼下垂症手術は、闇雲に開く力をどんどん強めれば良いということではないのです。
だから部位ごとに評価をすることが大事なのです。
「どこかにブレーキはないかな?」「ここはスムーズに動いてくれるかな?」
丁寧に評価していきます。
少し専門的になってしまいました。申し訳ございません。
さらに、開く力を強めすぎると燃費が悪くなるだけではありません。
何が起こるでしょう?
開く力を強めすぎると「目の奥のツッパリ感」などが出やすくなります。
その様な併発症(合併症)を減らすためにも、部位ごとの評価は必要なのです。
さらに、
そもそも、「手術自体がまぶたの各々のパーツへ与える影響」も考慮しなくてはなりません。
- 瘢痕による硬さ
- 繰り返す炎症による脆さ
- 異物による損傷・抵抗
- まぶたのグライディング機構の喪失
などです。
過剰な干渉が不具合の頻度を増やします。
だから、治療のプランを立てる際も、治療によって失われる機能があることを念頭に入れる必要があるのです。
手術によって得られるものと失うもの、このバランスを評価してプランを立てましょうね。