第3のまぶた
- 瞬膜
- nictitating membrane
- third eyelid
- plica semilunaris of conjunctiva
と呼ばれます。
鳥やネコでは、今も機能している、上まぶたと下まぶたの奥にある、「膜」です。上の画像、ご覧になりました?瞬きの瞬間に目の表面を覆う膜が現れるのです。
ネコを飼っている人は見たことがあるかもしれませんね。下の動画では9分以降をご覧ください。
その存在意義は?
「眼球を保護すること」につきます。鳥や魚、爬虫類、両生類は水の中を泳ぐときに有利です。陸上でも外界の情報を得つつ、目の表面を保護できます。つまり目を開けながら眠れるという。
ヒトの第3のまぶた
人間の「第3のまぶた」は動きません。痕跡器官です。でも、あなたの目頭にはそれがしっかり観察できるほどに存在しています。
目頭のところをクローズアップします。目頭にグニュグニュした粘膜のコブ(涙丘)が見えます。その下に眼球に張り付く半月状の膜が見えるはず。艶やかな桃色をしています。
そう、コレが「第3のまぶた」です。
アコーディオンのように畳まれて収納されているので、「眼球の動きを妨げない」とされています。
第3のまぶたが発達しているヒト
に出会ったのです。こちらがドキドキするレベル。でも今まで人に指摘されたことはなかったとのこと。
「では、右を見てください」
ピンク色の膜がドゥルっと出てきます。正常な構造ですから、気にしなくて結構ですよ😊
もっとすごいのがあった、ケースレポート
Indian J Ophthalmol. 2017 Mar; 65(3): 253–255.
Persistent unilateral nictitating membrane in a 9-year-old girl: A rare case report
9歳の女の子の左目に認められた「膜」。眼球の動きの制限と弱視を認めました。(「この膜に動きがあったかどうか?」の記載はありません。)膜と目の表面との癒着が幸いにもなく、手術で切除することができました。
出典:上記文献より
世界は広いですね。
参考:
Wikipedia: Nictitating membrane
あとがき
比較解剖学ですね。ほかの生物を観察することから、我々の持つ解剖や機能を理解することができるのです。ひょっとしたら「第3のまぶた」は、今も目の表面を保護すべく分泌物を出していたり、平滑筋が残っていて涙の流れを制御している可能性もあるかなあ?と妄想します😄
※追記
「第3のまぶた」の血管の周りや粘膜直下に免疫担当細胞が見られるとのこと。眼球周りの免疫に貢献している可能性もあるかも?とのことです。