眼瞼下垂治療の基礎と歴史が詰まったBeard’s ptosis 『眼瞼下垂』

「多くの眼形成手術の中で、眼瞼下垂は一定した結果を得るのが難しいという理由で、最も興味をそそられるものだった。」ーMichael Callahan

Crowell Beard博士による「眼瞼下垂」第四版

1990年に発行された”Beard’s ptosis fourth edition”。

初版は1969年。高さ286mm,幅217mm,厚さ23mm,重さ1218g,ページ数289pの大型本。カラーイラストや白黒写真が満載です。

眼瞼下垂に関する解剖学や病態生理が幅広く解説されています。まぶた治療の歴史を感じることのできる非常に感慨深い内容。

日本で行われている眼瞼手術治療の原点がここにあるのではないかと。これから眼瞼治療を志す若手医師にオススメです。

Beard博士の序文から、

眼瞼下垂手術は、おおよそ眼科手術の1%を占めている。一週間に10件の手術をする忙しい眼科医でも、20年間で100例程度の眼瞼下垂手術をしたことにしかならず、熟達するには不十分である。(中略)”眼瞼下垂専門医”は再手術するように頼まれる。

Beard博士の先見性や熱意を感じることを禁じ得ません。

彼自身、執筆当時450例しか経験がありませんでした。”少なくともしっかりした土台になると思う”という彼の期待に応えるようにCallahan博士が改定を加えました。

そのCallahan博士(Beard博士を指導医としていた)の序文にこの記事の冒頭のコメントがあったのです。

“一定の結果を得るのが難しい”

本当にこれオブこれです。不肖ワタクシ金沢も同じことを考え、日々悶々としています。

この本の使い方

  1. 迷った時に原点を振り返る材料として。道を外したり、盲目になってる部分がないかの確認のために。
  2. 古い文献にもアクセスしやすく、オリジナルの術式に近い文献に当たることができる。
  3. 翻訳が超スグレモノ。読みやすい日本語に訳されていて違和感なくスイスイ読むことができる。

①専門性を追究するほどに、どんどんと視野が狭くなっていくものです。「眼瞼下垂」というジャンルだけでも専門性が高いのにその中でも更に先鋭化していくものです。するとうっかりと見落とすことがあり、そこから悩みが生まれて無駄骨をおることも。まずは俯瞰して眼瞼下垂を見つめます。

「新しい知見を発見したかも!」と思っても大抵はすでに先人が試行したものであります。無駄骨を折らないためにも要チェックです。
②今後論文を執筆する際にも有用です。参考文献の引用も遡るのは大変な作業ですからね。
引用文献のリスト
オリジナルの文献のリストって貴重

③眼科医井手醇(いであつし)医師が翻訳を手がけました。完璧な翻訳をされた眼科医井手醇医師に心より敬意を表します。

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そして情報収集の旅もここで完結です。

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