眉の高さが眼瞼下垂の程度で変わる
「眼瞼下垂術後におでこのシワが浅くなったけど、目尻のシワが増えました😅」
このような変化はよく起こります。眉の位置が術後に下がることが原因。
眼瞼下垂になると前頭筋にチカラが入って眉が上がり、おでこジワができます。狭くなる視野を補おうとするバックアップシステムでしたね。まぶたの前葉を持ち上げて視野を確保しようとする、自然なかつ合理的な身体の反応。
一方、眼瞼下垂が修復されると前頭筋のチカラが抜け、眉の位置が下がってきます。その結果、おでこジワが消え、その代わりに目尻のシワと鼻根部の横ジワが増えます。
このように説明するとわかりやすいですが、現実はもう少し複雑です。眉の位置は、正確には前頭筋の力だけでは制御されているわけではないのです。
「眉を持ち上げる筋肉」と「眉を引き下げる筋肉」の引っ張り合いがあって位置が決まっているってご存知でしたか?
眉位置をコントロールするもの
眉を持ち上げる筋肉
- 前頭筋(内側と外側、一部の人は正中部)
- 後頭筋
眉を引き下げる筋肉(眉毛下制筋群)
- 眼輪筋
- 皺鼻筋
- 眉毛下制筋
眼瞼下垂では前頭筋の力がフル動員されています。他の筋肉の力が前頭筋に負け、その結果眉が上がります。
つまり力関係のバランスで決まるのです。眉を引き下げる筋肉の力が勝っていれば眉は上がりません。
眼瞼下垂になった結果、眉を引き下げるチカラが強くなってしまっている人もいます。その場合は「眼瞼下垂なのに眉が上がらない」ということになります。
眼瞼下垂の治療の結果
眼瞼下垂が修復されると前頭筋の力が緩み、眉が下がります。一方、眉毛下制筋群の働きが顕在化し、眉位置がドンと下がり、眉間ジワが現れます。目尻ジワも増えます。このパターンが多いです。
一方、もともと眉が下がっていた人は眉毛下制筋群のチカラが緩み、結果眉が上がるということもあり得ます。
つまり逆パターンもあるということを知っておくといいでしょう。
実際のモデル患者さん
眼瞼下垂で、前頭筋も働いています。しかし、同時に眉を引き下げるチカラも強いのが見てとれます。
このかたは眉間にチカラを入れるようにしてまぶたを持ち上げよう(目を見開こう)としていたのです。
眼瞼下垂の治療後は眉間のチカラが弱まりました。
このようなパターンもあるのです。
40歳を超えるとシワが見えるように
なお、皮膚の伸縮性と弾力性がある若い人はシワは目立ちません。しかし年をとるにつれて、その眉位置の変化に皮膚の変化が追いつかず、シワが増えます。
あきらめましょう😭
筋肉の緊張のバランスをコントロールする目的でのボトックスなどの対処法はありますけど。
参考文献
◎Lee JM, Lee TE, Lee H, Park M, BaekS. Change in brow position after upper blepharoplasty or levator advancement. J Craniofac Surg 2012;23:434-6.