眼瞼下垂患者さんが求めるものは見かけ?それとも機能?

患者さんが求めるもの

70代の女性が診察室に入ってきました。眼瞼下垂手術後1ヶ月です。

んん~顔の左右差が目立つなあ。左の眉が下がって左のほうれい線も深く切れあがっている。(つまり、左の表情筋が強いということ。)

そうなると、結果的に左目が小さく見えるのです。目を閉じる筋肉(眼輪筋)が強いためにまぶたが下がり、下まぶたも上に挙がるからです。

「さて、この左右差をご理解いただけるように分かりやすく説明しなければ」少なからず緊張を覚えます。

ところが、その女性、開口一番に「運転ができるようになったんです。特に夜。今までは顎を突き出したり、あるいは顎を引いて上目使いにしてみたり顔の角度を変えて奮闘していたのに、今はもう普通の姿勢で見えるんです。本当に手術して良かった!やって良かった!」

口角泡を飛ばし、饒舌に語ります。「顔の表情の左右の違いは、、」と私が言いかけると畳み掛けるように身振り手振りでジェスチャーを伴って言葉をかぶせてきます。

それ以上こちらから申し上げることはヤメました。「そうですか。決断できて良かったんですね。それでは2ヶ月後にまた経過を教えてくださいませ。さようなら」

しばしあっけにとられた私。

そして、我に返りました。私が考えていた「患者さんが求めるもの」と、「患者さんが実際に求めていたもの」とのギャップに気づきました。

彼女は生活に支障をきたしていたわけですから、生活の質を改善することが至上命題だったのです。

見かけばかりを追いかけると本質を失いかねません。とても大事なことを再発見させてくれたのでした。

ちなみに、

見かけパーフェクトでも、仕上がりに対する好みの差や、違和感などの自覚症状で満足が得られない場合もあります。そのギャップで苦しむことが多いのも、この業界。

あとがき

最近考えるのは高齢者の生きがいについて。

「年金が不足する!」と話題になりましたね。

しかし、それ以上に大事なのは「社会との繋がり」かなと思います。どんなに経済的に満たされても、孤立していると満たされません。

そのためにも、健康が重要なのはいうまでもないですが、それでも若い時に比べると限界はあります。ほんの少しでも「社会に交わること」があれば、それこそ「スーパーに買い物に行く」とかでも、社会との繋がりを感じられる要素かなあと思います。実は「車の運転ができる」ということも、社会との繋がりを維持するツールだったのかもしれません。

社会貢献は、年金問題と生きがいを解決してくれます。だから私は、高齢者が一年でも長く現役でいられるようお手伝いしていきます。

自分としても、衰えていく身体能力のなかで、「社会貢献によってわずかながらでも生活の糧を得られるために、何ができるか」考えていきたいと思います。これから生まれてくる子供達に負担をかけたくないですしね。

あ、でもね、長年いた組織からは一線を退くべきと思います。老害になりま…

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