眼瞼下垂手術|70歳以上の場合

あなたは70代の女性ですね。

「眼瞼下垂を治療したいけど…あの有名人の経過を聞いて躊躇(ちゅうちょ)しています」

そう心配するのは実は間違いではありません。その点を解説します。

中年期を過ぎてからの眼瞼下垂手術

まず初めに失敗例から。これらは実によく相談があります。

  • 三角目
  • 皮膚のとりすぎ
  • 目が閉じにくい
  • やつれた
  • 変なシワ
  • まつ毛が上を向いてウォーターラインがあらわに

これらは医師の知識と経験不足によるところが多いです。申し訳ないです。(ケースによってはベストを尽くしても限界があります。)

まず前提としてあるのは、若い人とはまったく異なる世界という事です。ここを知らずに若い人と同じ結果が得られると簡単に考えると痛い思いをします。

若い人と何が違うのか?

  • 皮膚が伸びて薄い
  • 目の横幅が小さい
  • 目が引っ込んでいる
  • 皮膚の弾力性が失われ、伸び縮みしない。フィットしない。皮膚は骨格から滑り落ちていく。
  • 組織が萎縮し、リッチ感(豊満感)が失われてきている。
  • 脂肪が減り、頭蓋骨の輪郭が浮き出る
  • 眉が上がって眉下が窪み、皮膚が不足する
  • まつ毛が細く短くて上を向きやすく、ウォーターラインが見えやすい
70歳以上の目
構造上極めてデリケート

そのため、眼瞼下垂手術のデザインでこの点を十分に考慮する必要があります。

70歳以上の場合
無理なデザインは禁物

最も避けるべきことは、

  • 皮膚を切りすぎること
  • 組織を減量すること
  • まつ毛を外反させること
  • 二重の食い込みをがっちり安定させること

お分かりになるでしょうか?実はこれら、若い人にやると喜ばれる技術なのです。端的にいうと高齢者ほどデリケートなのですね。

だから若い患者が集まる美容外科で70代の人が眼瞼下垂手術を受けると危険かもしれないのです。医師は良かれと思ってやってくれるのですが…

結論

70代の女性を手がける頻度が高い外科医を探すこと。

ちなみにこの記事の内容を若い人ばかり相手にしている美容外科医にリクエストしても理解されることはありません。ご注意ください。

「もう少しぱっちり目にしたかった」

しかしながら控えめに仕上げたところ、物足りなさを感じてこのような不満が出ます。ここも注意。目が閉じなくなるリスクです。

高齢になると涙の機能が衰えます。ドライアイになりつつ、涙目になったりするのです。涙の機能が落ちるということは眼球を守る機能が落ちていることを意味します。

眼瞼下垂手術で若返ることを期待すると、残念なことになります。とにかく控えめに仕上げることが優先です。

「目尻のたるみをもう少し取りたかった」

しかしながら皮膚のたるみを取らないことで、このような不満が出ます。ここも注意。目尻のたるみが作るシャドーを大事にする必要があります。目尻のたるみをなくすと目の横幅が小さくなってしまうのです。

50歳を超えると顔が平坦になります。目尻のセットバック感が急に減少します。そして「こめかみへ伸びる目尻の影」はそれを補っているんですね。目尻の影を失うことは「顔の立体感」を失うことになり。そして顔の余白を増やすことになります。つまりよりアジアンテイストな平坦な顔になるのを助けてしまうということ。この点は50歳以上の人にも当てはまります。

関連記事『眼瞼下垂手術|50歳以上の女性の場合』

バランスが大事

あとね。若返りを意図すると失敗します。おすすめは70歳なりの形を整えること。庭木の剪定する庭師さんをイメージしてください。彼らは樹木の若返りを図っているわけでなく、乱れを整えているのです。そして松の持つ品格と荘厳さを作り出します。全体のバランスの中で整えるのです。

洋服の仕立て直しとでもいえばいいでしょうか。伸びたところと切り取るだけでなく、新しい体形に合うように仕立てるのです。

モデルさん

若干の皮膚切除を併用した眼瞼下垂手術(前葉下垂、後葉下垂合併の混合型)です。術後の写真を見たら皮膚が余ってるように見えませんか?

70歳以上の眼瞼下垂手術
術後の皮膚のたるみが気になりますか?

目を閉じたところの術後写真を見てください。

皮膚が余っていないことがわかりますよね。つまり、目を閉じるために必要な皮膚をギリギリ残しているのです。

70歳以上の眼瞼下垂手術 目を閉じたところ
これ以上は皮膚を取りたくない

目を閉じた時に皮膚にシワがありません。ということは、目を閉じるのに必要な量の皮膚なのです。過剰な皮膚ではないのです。

あとがき

2025年ももう一月が終わってしまいました。早い速い!

1日1日コツコツ積み重ねます。ハーフマラソン後にご褒美です😋

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※尚、当記事は特定の手術をプロモートするものではありません。まぶたの生理学を追究するものであり、いち形成外科医が考察する雑記であります。皆さんと情報を共有し、まぶたの真理を追究することが目的です。手術自体はリスク(出血、傷が残る、左右差、違和感など)があり、慎重に検討されるべきです。手術に挑戦しないという選択肢も当然あります。失敗する可能性もあるからです。

関連記事『眼瞼下垂手術のリスク、併発症(合併症)』

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