こんにちは、金沢です。
第59回日本形成外科学会総会in福岡(平成28年4月15日)
眼瞼下垂症手術トラブルの症例検討4題
座長は松尾清先生、土井秀明先生、野平久仁彦先生。このお三方は日本で最も多くの件数の修正手術をしているベテラン形成外科医。
- 大腿筋膜移植による吊り上げ後に瞼板変形をきたした1例
- 治療に難渋したHorner症候群による眼瞼下垂症例
- 眼瞼下垂症手術後の原因不明の角膜潰瘍の1例
- 眼瞼下垂症手術トラブル:ミュラー筋損傷型挙筋前転後違和感
それぞれにその原因を追究すると夜も眠れなくなるほどの示唆に富む内容。
トラブル症例からの学ぶことは計り知れず。
このように演題を出された演者に心より敬意を表します。
前日に岩平佳子医師がコメントしていました。
「こんなにうまくいきました発表」はもう不要である。トラブル情報を皆で共有することの方が大事。これこそ今後の学会でやるべき活動でしょう!
とのことでした。これもまた示唆に富むコメント。「こんなに綺麗になりました発表」はもはや学ぶことは多くない(演者の自尊心は満たします)。うまくいかなかったケースほど病態生理や機能解剖、そして適した治療法を考える良い機会になります。上の四つの演題だけで非常に多くのことを考えることができました。
- 移植筋膜の幅はどのくらいが良いか?
- 移植筋膜の裏表について。
- 移植筋膜の短縮率は?
- 移植材料として人工物(ゴアテックスなど)もあり?
- 瞼板への固定は遊びがあったほうが良いか?
- 瞼板の柔らかさ、可塑性について。
- ミュラー筋は引っ張りすぎても感度が低下する?
- ミュラー筋はやはり触らないほうが良い?
- 挙筋腱膜の瞼板への固定が不要な場合も?・・・・・・・
まだまだ課題が多いまぶたの世界です。
学会上での形成外科医に提案です。質疑応答の際には、トラブル症例の演題を出した演者に、最大限の敬意を払いましょう!