手術の失敗とは?
患者さん側からみる「失敗」とは、「満足いく結果がえられない」ということ。
しかしながら、「手術を失敗された」と医療機関に訴えると、ミスをしていない医師は「それは違う」というでしょう。
しかし、結果がでなければ「失敗」ですよね。富士登頂に挑んで、ミスなくベストを尽くせても「登頂失敗」はあるでしょうし、アラスカにオーロラを見に行っても、条件に恵まれずに「失敗」に終わることもあるでしょう。ロケット打ち上げ失敗もあるし…
うーん。
そういう意味では「手術の失敗」という表現は”あり”です。
しかしながら、医療者が恐れているのは「失敗だから保障せよ。返金せよ」と迫られることです。
はたして「返金」などの保障がなされるべきでしょうか?
富士登頂に失敗したら、そのプロジェクトチームリーダーは参加者に参加費を返金するでしょうか?
オーロラを見られなかったら、アラスカツアーを企画した旅行会社は返金するでしょうか?
ミスがあれば、応分の保障をすべきかもしれません。しかしベストを尽くしても結果がでない場合もあります。
「抗菌薬を投与されたら、アレルギー反応がでた」
結果としては、不幸なことが起きたことに間違いはありません。しかし、アレルギー反応は一定割合でおこることであり、失敗とはいいません。
「がんの手術をしたが、4年後に再発した」
これも残念な結果ですが、手術失敗とはいいません。「あの時の手術代金を返金しましょう」ということはないですよね。
だから、和田アキ子さんの眼瞼下垂手術も「失敗」と表現したくないというのが医療者の思い。手術の時点でベストを尽くしているからです。ミスをしていないからです。
(もしくは、まだ変化する途中であり、「失敗」と片付けるには時期尚早であるともいえます。)
ちなみに、医療ミスとは、
- 左右を取り違える
- 的外れな、余計なことをした
- 薬剤をとり違えた
- 薬剤の分量の計算を間違えた
などです。これらによって後遺症が生じたら、相応の保障がされてもいいでしょう。
一方、「手術併発症(合併症)」と言う表現があります。これも医療ミスではなく、一定割合で起こる不可避の症状、病気です。
- 術後出血
- 創部感染
- 傷がひきつれたり、ケロイドになる
- 神経障害
- 治癒の遷延
- 筋肉の萎縮
- 異物反応
患者さんは生の人間である以上、医療行為には少なからずリスクが伴います。ベストが尽くされても一定割合で生じるのです。振り出しに戻せないこともあります。
関連記事:『眼瞼下垂症手術の併発症(リスク)をあらかじめ知っておきましょう』
とはいえ…
「失敗」と言う表現はしたくない。けど…しかしながらそのような不幸な事実を医療関係者は真摯に受け止める必要はあります。
さもないと進歩がないからです。
さもないと、不幸な結果になった患者さんは報われないのです。
「和田アキ子さんの眼瞼下垂手術は、ベストを尽くしたが失敗に終わった」という表現がふさわしいでしょうか?
あなたはどう思いますか?

