「顎を突き出してモノを見る」
これは眼瞼下垂症チェックリスト項目のひとつです。
まぶたが下がってくると(眼瞼下垂)、視野の上半分が欠けてきます。そこで、視線を落とした状態(下目使い)で、顎を突き出すと、また視野が回復します。
テレビを見る時、車を運転する時、いつの間にかこのような姿勢になっているのです。この時、首の後ろの筋肉も緊張しており、首コリの原因にもなります。
とはいえ、無意識にこのような姿勢になることは「視野を確保する」という観点からは合理的です👐
実はまぶたが下がってきた時に、無意識に身体が起こすアクションがふたつに分かれます。
一つは眉を持ち上げつつ、顎を突き出す姿勢になる場合。もう一つは眉を押し下げ、眉間に力を入れて眼力を込める場合です。
タチの悪いのは後者です。眉間ジワが深く刻まれ、交感神経興奮状態が続くので身体も疲れやすくなります。
その点でも、前者(顎を突き出す)はまあ良い反応といえます😄
顎を突き出す姿勢で背中が丸くなる
自分でシミュレーションしてみてください。顎を突き出してみると、首と頭が前方に移動します。頭がそのまま後ろにのけぞる訳ではないことが分かります。
そして、背中が丸くなりましたよね。
顔の角度でも顔つきが変わる
顎を引くと「緊張感」を感じますね。一方、顎を突き出すと「見下した感じ」もしくは「寛容」というイメージがあります。
視線が上むきになるか、下向きになるかの違いが大きいようです。
まあ、良いか悪いかは別です。
鼻の見え方も変わる
それだけではありません。加齢によって鼻の穴が大きくなります。さらに、鼻の下を伸ばすようになるため、鼻の先が上むきになります。おまけに顎を突き出す姿勢になると、鼻の穴を人に見せる角度になるのです。
表現はよくないですが「豚鼻」になってしまいます。この点は私が多くの患者さんを診療してきた中で気づいたことです。
実際のモニター患者さん
まぶた前葉の下がりが強いタイプの眼瞼下垂です。おでこの力が動員され、眉が挙上されています。眼瞼下垂の手術を行いました。いわゆる定型的な挙筋前転法および重瞼部分での皮膚切除です。
鼻の孔の見え方を観察してみましょう。
おでこの力が抜けて眉位置が下がりました。そして顎を突き出す姿勢も改善しました。
頭の角度の変化は、ご本人も気づかないでしょうね。
あとがき
加齢現象で鼻の孔が大きくなるってご存知でしたか?正確には「鼻腔が広く」なるのです。どうしてでしょうね?