眼瞼下垂になるとなぜまぶしくなるのか?世界の七不思議

眼瞼下垂になり、まぶしく感じやすくなる人がいます。まぶたがたるんで下がり、視野が狭くなり、瞳に取り込まれる光の量が減るにもかかわらず、です。この現象については原因がはっきりとしません。二つの仮説を述べてみたいと思います。

まぶたが下がる(眼瞼下垂になる)とまぶしくなる

「眩しい(まぶしい)」という言葉は極めて主観的な形容詞です。他人が評価するのは難しいです。

眩しいと目を細めて顔をそらします。防御反応が身体に表れます。どちらかといえば不快な感覚に分類されますね(例外もあります)。

学術的には「羞明(しゅうめい)」といいます。

2016年現在考えられる仮説を2つ示します。

まぶたが下がる(眼瞼下垂)と交感神経が優位に働き、瞳孔が開く

信州大学形成外科学教室の報告によるとまぶたの下がっている方の瞳孔(黒目の中の絞り、光が出入りする穴)が大きくなるそうです。交感神経にスイッチが入ると瞳孔が開き、戦闘モード(闘争モード)になるわけですね。

まぶたが下がると眼瞼けいれんになり、まぶしく感じるようになる

眼瞼下垂になると眼輪筋の緊張が高まることが確認されています。まぶたのたれ下がりから眼瞼けいれんが誘発されることが示されているのです(重り負荷テストなど)。

眼瞼けいれんの主たる自覚症状は

  • 目のショボショボ、ドライアイ
  • まぶしい

なのです。ドライアイの症状で眼科を受診することが多い病気です。

診断を難しくしているポイントがあります。

眼瞼下垂という病態は見た目では分からなくとも水面下で(不顕性)進行していることがあるのです。医師を惑わせます。

まぶたが下がるとまぶしくなる。解明が待たれます。

残念ながら、十分な根拠はまだ示されていません。今後の研究に期待したいです。

実際のモデル患者さんを見てみます

「まぶしい!」が主訴(もっとも困っていること)です。家の中でもサングラスを着用しているとのこと!

眼瞼下垂手術前後の写真。まぶしさを強く感じる。眼輪筋の緊張の亢進が確認される。
まぶしさを強く感じる。下まぶたが上につり上がっているのが分かる。眼輪筋の緊張の亢進が確認される。

まぶたがほとんど開かない重度の眼瞼下垂。いかにも「まぶしい!」という表情が読み取れます。

「眼瞼下垂症+眼瞼けいれん」

と診断しました。

まぶたの手術だけではまぶしさの改善は難しいかもしれない(後日ボツリヌス毒素注射治療が必要になる)という、やや不安を抱えての手術治療開始となりました。

結果的には、

少し眼瞼けいれんの様な眼輪筋の動きがまだ観察されますが、「まぶしさ」は劇的に改善したのでした。

著しい支障をきたしていた日常生活が元に戻り、屋内でのサングラスは不要になりました。

  • 年齢:70代
  • 性:女性
  • 手術:両側の挙筋腱膜修復術
  • 皮膚切除:なし
  • 脂肪切除:隔膜とPSFは発達弱い
  • lateral horn リリース:half
  • 下位横走靭帯:なし
  • 挙筋腱膜の滑り:右:0 1 2(3) 4 左:0 1 2(3)4
  • 挙筋前転:右:中等度 左:微量
  • ミュラー筋処理:左右ともなし
  • 手術時間:45分

まぶたのたるみでお悩みのかたのために、写真と動画を使用することを承諾いただけました。心より感謝申し上げます。(埼玉県の患者様)

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そして情報収集の旅もここで完結です。

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