「首下がり症候群」と「眼瞼下垂」
まぶたの一般演題セッション。演者、栗山元根先生(千葉大学形成外科)。
ある種の疾患で首が前に垂れ下がってしまう病態。「失意のあまり、がっくり首を垂れた」姿勢です。自力で首を持ち上げることができず、食事や飲水にも支障があります。床か自分の膝しか見えないですから、「視野」の観点でも不便で仕方ありません。ネックカラーで首を支えている人もいます。
合併疾患は様々。パーキンソン病などの神経の病気など。要因も多種の仮説があります。
ざっくりいうと首の周りの筋肉の緊張バランスが引き起こしているであろうとされています。
眼瞼下垂の手術をすると首の筋肉の緊張バランスが変化し、自力で首を持ち上げられるようになるという症例報告
いままでに3人の患者さんに手術を行い、2例で経過が良いようです。(一例は元に戻った?)
手術適応として、「眼瞼下垂」があること。「テープ吊り上げテスト」で首の動きの改善が見られることです。
動画でテープテスト前後を記録。劇的に、瞬時に変化(首を自力で起こせるようになる)が見られます。これは患者さんも驚くでしょう。そして、眼瞼下垂手術をすると、その通りに首が持ち上がるようになったのです。
神経内科でフォローされている「首下がり症候群」の患者さんに神経内科の医師が「テープテスト」を行い、変化が見られたヒトを形成外科に紹介しているようです。
キーポイントは「首下がり症候群が眼瞼下垂手術で治る」ということではなく、何かしらの神経生理学的メカニズムがそこにあるということです。まぶたの神経性理学の解明に期待が持てますね。
日本形成外科学会総会
いつもは4月の学会ですが、今年は5月に催されました。札幌は気候も暖かくなってちょうど良い。
今回はわたしは発表なしです。とても気分が楽でした。