「過度な前転はしません。開瞼抵抗(まぶたの動きを妨げる構造)を解除すればちゃんと目が開くようになります。過度に挙筋(きょきん)を前転すると違和感(ツッパリ感など)の原因になるばかりでなく、眼瞼けいれんの原因になります。
2017年日本美容外科学会@札幌の「眼瞼」シンポジウム
私の師匠、小泉正樹先生が動画を用いて発表しました。他医の修正を請け負う経験の中から紡ぎ出された理論です。
一般的に、
「目をぱっちりにしたい」
との気持ちからこれを担当医に告げると、担当医はなんとかこれに応えようとします。
これが行き過ぎると眼瞼挙筋の過度な前転(引っ張り出すこと)を生み、眼瞼挙筋の緊張を測っているセンサー(ミュラー筋)が興奮状態に置かれてしまいます。
「眼瞼挙筋が引っ張られているよ〜」というシグナルを常に出し続けることになります。
その結果、
- まぶたの違和感(ツッパリ感)
- 眼瞼けいれん
を引き起こします。
小泉正樹先生はこの眼瞼けいれんを「偽性眼瞼けいれん」と呼ぶそうです。修正手術でADMをしないでも治せる可能性が高いため、「本物の眼瞼けいれん」と区別します。
最近は動画プレゼンテーションが増えてきましたが、他の先生の眼瞼下垂の手術は前転が強い印象があります。
「挙筋前転を控えめにして、腱膜は緩く留めるだけ」
との主張が形成・美容外科医師に伝えられました。
これを理解するには
- 開瞼抵抗(横走靭帯、挙筋腱膜内角・外角、眼窩隔膜、眼輪筋、皮膚など)を知っている
- 隔膜を開いて挙筋を修復する手術をしている(ミュラータッキングだけで手術していたら無理)
ことが前提になります。
安全な眼瞼下垂症手術のためにも情報を共有すべきですね。
わたしも同様のコンセプトで眼瞼下垂手術を行なっています
前転を控えめに仕上げることで、
- 術後の違和感が少ない
- 眉位置が下がりすぎない。そのために皮膚切除量も少なくできる。
その結果、顔つきの変化を最小限にして自然な仕上がりを追求できます。
究極は、
「目の開き具合は手術前後と変わっていないのに、優しい目つきになってまぶたが軽くなった」
というレベルを目指しています。
おまけ:目頭の違和感
「眼瞼挙筋の内角あたりの処理が原因で目頭の違和感がでやすい」
松尾清先生のコメントです。
わたしが担当した患者さんも、術後の目頭あたりの違和感を訴える割合が多いです(ごめんなさいm(_ _)m)。今後その点に留意して手術を行います。
[aside type=”normal”]まぶたの術後の違和感。異和感(いわかん)とも表現されます。ツッパリ感や圧迫感などです。[/aside]小泉先生の手術はこちらで
こいずみ形成クリニック:愛知県名古屋市中区栄4-13-19 TKビル5階
静岡厚生病院:静岡県静岡市葵区北番町23
松阪市民病院:三重県松阪市殿町1550番地
小泉正樹先生のブログ:名古屋のこいずみ形成クリニックの眼瞼下垂コラム
あとがき
学会で札幌を訪問。学会が終わり次第帰宅の途につく医師が多い中、わたしは4泊5日のゆったり旅で札幌を満喫しました。
羽田〜新千歳。スカイマーク(全席エコノミー)を利用しましたが、座席下にコンセントがあります。これは便利!飲み物も有料とのことでしたが、コーヒー100円です。シートピッチもJALやANAのエコノミーと同じらしいです。コストパフォーマンス高いですね。ご家族で旅行を検討している人にはこの値段(私は往復で25000円位でした)は魅力です。満席でした。パイロットは往復とも日本人でした。経営破綻してから好調のようで頑張ってますね。