その眼瞼下垂、実は「偽物」かも?誤診を防ぐ重要ポイントを医師が解説

偽眼瞼下垂

「まぶたが重くて。。。わたし、眼瞼下垂だと思うんです。」

そう、来院する患者さんたち。実は半数は眼瞼下垂ではありません。眼瞼下垂でないことを伝えると、驚く人が8割。ホッとする人が2割です。信じられますか?

目次

眼瞼下垂(後葉下垂)と偽性眼瞼下垂(前葉下垂)

眼瞼下垂とは、まぶた内部(後葉)のエラー

まぶたには厚みがあります。前葉と後葉との二枚重ねです。前葉は皮膚と眼輪筋、後葉は挙筋と結膜。

眼瞼下垂の本質は後葉の下垂です。挙筋が機能しないため、目のふちが下がっています。このために視野が遮られてしまいます。

一方、後葉はしっかり上がっている(眼瞼下垂ではない)のに「まぶたが重い」、「視野が狭い」と感じる人がいます。

偽性眼瞼下垂=前葉下垂

前葉(主に皮膚)が視野の邪魔をするのです。(でも、後葉はしっかり上がっている=挙筋は健康そのもの)

そこで、偽性眼瞼下垂(偽眼瞼下垂:ぎがんけんかすい)と名付けられています。別名、眼瞼皮膚弛緩症とも呼ばれます。偽ですよ。偽性、つまりいつわりの、偽の眼瞼下垂なのです。つまり眼瞼下垂じゃないんです。

そうです。冒頭で申し上げた「あなたは眼瞼下垂ではありません」の人のほとんどがこちらに該当しています。こう告げられた本人は驚きを隠せません。ここで私は説明します。

「まぶたには厚みがありましてね。前葉と後葉との二枚重ねになっています。で、後葉が下がるのが眼瞼下垂なんですね。ところがあなたは後葉はむしろしっかり挙上されている。一方前葉がひさしのようにかぶってきてるので前葉下垂、つまり偽性眼瞼下垂なのです」と。

笑みを浮かべ、照れくさそうにこういう患者さんもいます。「な〜んだ。ただのたるみなのか〜」と。

前葉と後葉との位置関係に着目すると、真逆のことが起きているのですね。(ここの診断を間違えると治療もまちがえます)

前葉後葉のペーパーモデル

こちらにモデルを作りました。ピンクが後葉(まぶた内部)、青が前葉(皮膚)です。後葉の下からまつ毛が伸びています。

まぶたの前葉と後葉のペーパーモデル
(1)材料
まぶた前葉と後葉のモデル
(2)これを正しい位置関係とする
まぶた前葉と後葉のモデル。後葉下垂
(3)後葉がずり落ちている=後葉下垂=真の眼瞼下垂
まぶたの前葉下垂モデル
(4)前葉がずり落ちている=前葉下垂=偽眼瞼下垂=眼瞼皮膚弛緩症

見分ける方法

青い紙が前葉(=皮膚)、赤い紙が後葉(=瞼板)で、こちらにまつ毛がついています。(1,2)

(3)を見てください。瞳を覆う主犯になっているのはピンクの紙(後葉)ですね。これが真の眼瞼下垂です。(3)

一方、(4)は青い紙が瞳を覆ってしまっていて、赤い紙が見えません。青い紙が主犯です。これが、偽性眼瞼下垂

両者の違いは?わかりやすいのはまつ毛の演出です。後葉下垂はまつ毛がすべて見えますが、前葉下垂は皮膚に隠されています。私は個人的にまつ毛徴候(ciliary sign)と呼んでいます。

さて、あなたはどちらに該当するでしょうか?

治療法

前葉下垂が「ただのたるみ」だとしても、視野が遮られていることは後葉下垂と変わりがありません。前頭筋をフル動員している状態ですから、頭痛肩こり持ちの人もいます。

だから治療したいですよね。やっぱり。

後葉下垂は挙筋前転法が適応。一方、前葉下垂は「絶対にこれだ」という治療法はありません。詳細はこちらに譲ります。少々ややこしいので、ゆっくりご覧になってください。

注)多くのトラブルケースは、この診断を間違えている

他院で眼瞼下垂手術を受け、経過が思わしくない、あるいは目つきの変化に気持ちが追いつかない患者さん。口を揃えて言うのが「私って本当に眼瞼下垂だったのでしょうか?」という言葉。

術前の写真を拝見すると、多くの方が「前葉下垂」のように見えます。あらかじめ前葉下垂と後葉下垂を区別できていれば、このような不幸は生まれなかったかもしれないと感じます。

追記

眼瞼下垂でもなく、ただの皮膚のたるみでもない人が紛れています。これが眼瞼痙攣。この診断もすこぶる大事です。この方達は「手術をすべきでない」とまずは判断します。

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