こんにちは、形成外科専門医の金沢です。
「眼瞼下垂になったので、二重にしたい」
「切るのも怖いし〜」
残念ながら、「無理です」とダメ出しされてしまう患者さん。
最近は大手の美容外科でも眼瞼下垂を診断しています。「ふたえ」にしたくて受診し、「あなたは無理。眼瞼下垂の手術が必要です」としっかり診断されるパターンも多いようです。
眼瞼下垂に「ふたえまぶた手術」をしたら治るのか?
ふたえにする手術といえば「重瞼術埋没法」や「切開重瞼」です。
- 重瞼術埋没法:ふたえの折り目とまぶたの裏側を連結するように糸で結び、持ち上がるまぶたに連動して折り目が引き込まれるようにします。
- 切開重瞼(全切開):ふたえの折り目を切開し、切開線をまぶたの中に癒着させます。
しかし、下がりまぶた(眼瞼下垂)は二重にしても治りません。まぶたを持ち上げる筋肉の連結が緩んでいるから。そこを修復しないことにはまぶたは持ち上がりません。上記のふたつの方法は持ち上がるまぶたにふたえが乗っかる(おんぶする)カタチになっているからです。
強引に「ふたえまぶた手術」をしたらどうなるの?
埋没法の場合:
二重の折り目がすぐに浅くなります。元に戻ってしまいます。もちろん眼瞼下垂は治りません(一時的によくなることはある。下記参照)。
切開法の場合:
眼瞼下垂が悪化します。挙筋腱膜の連結が完全に断裂することもあります。
眼瞼下垂を修復すれば解決
眼瞼下垂の手術をすれば、同時に「ふたえまぶた手術」にもなります。切開線をふたえの折り目にします。挙筋腱膜を折り目に連結し、そのチカラが伝わるようにします。
実際のモニター患者さん
- 逆さまつげを直したい
- 切りたくない
- ふたえにしたい
というご要望。つまり「重瞼術埋没法」を希望されました。
眼瞼下垂症、つまり腱膜のゆるみを認めます。残念ながら「埋没法」では後戻りすることが見込まれました。そこで切開を必要とする「眼瞼下垂症手術」を提案しました。
という熱意により、埋没法を行いました。
とお約束した上で。
眼瞼下垂に埋没法を行なった結果
実際、そこそこうまくいったのです。埋没の糸がはかなげな腱膜の端っこに引っかかったか、炎症で組織が硬くなり、挙筋腱膜の連結が復元されたためでしょう。
しかし、1年もすると後戻り傾向が認められ、ふたえテープでなんとかしのいでいる状態でした。
1年3ヶ月にて「ギブアップ」宣言。患者さんの希望で、眼瞼下垂症手術を行いました。
根本的な解決をすることができました。😄
上方視、下方視の術前後の写真
をみると、その違いがわかります。
上方視時に置いてけぼりになったまぶたの皮膚がわかります。三重や四重の線がでてきているのは「眼瞼下垂症」のサインです。
動画では、「正面を見る、目を閉じる、下を見る、上を見る、目を強く閉じる、目を大きく開ける、目を閉じたまま眉を持ち上げる」という動作をしています。
術後は挙筋腱膜がしっかり連結されているのでくっきりとしたふたえになります。伏目にしたときもちゃんとまぶたは降りてきているのが分かります。しかし、皮膚切開を伴うため、ふたえの折り目の傷は残るのです。切開の宿命ですね。
まとめ
以上、
- 眼瞼下垂に埋没法は無効である
- ふたえ手術で逆に悪化することもある
- 実際のモデル症例
を提示しました。
- 眼瞼下垂の修復にふたえ手術は適切でないと知っていましたか?
- 場合によってはふたえ手術が眼瞼下垂をさらに悪化させる可能性があるって理解できましたか?
- ダメもとで埋没法を試し、無効だったら切開を検討するというやり方はアリだと思いますか?
世の中、甘くないですね。
追伸
なぜ、エアコンてなんとなく気持ち悪いのでしょう?
かつて4階建ての最上階の賃貸に入居したことがありました。夏はとにかく暑い!😡エアコンをガンガンかけても暑いのです。
天井や、壁に手をかざすと…手のひらに「熱気」を感じるのです。正体は輻射熱でした。岩盤浴と同じですね。
つまり、エアコンの気持ち悪さの原因は、環境からの輻射熱でしょう。空気は冷たいのに、電磁波で身体が温め続けられている状態です。
涼しく快適な部屋を作りたかったら、早めにエアコンを駆動し、壁・床・天井を冷やすといいでしょう。