「まずは右から、そしてその1ヶ月後に左の手術をしましょう。」
「左右同時に手術しますよ。」
受診する医療機関によって、この2パターンに分かれます。(前提として、左右のまぶたの治療が必要である場合です。)
眼瞼下垂手術。左右同時、別々の日程、どちらが良い?
患者さんの社会的負担の点からは同時手術を希望されることが多いでしょう。なぜならば仕事を休む期間を最小限にしたいからです。
一方医療機関側はあらかじめ方針を決めていることが多いです。
- 原則片側ずつ手術
- 原則左右同時手術
片側ずつまぶた手術(左右で別日程)
片側ずつ手術を行う医療機関に、左右同時の手術を依頼しても断られることが多いようです。その理由については詳細はわかりません。
実は医師によって手術のセッティングも異なります。横から手術をする医師は右に左に移動するのが困難です。片方を仕上げてから、日を改めて反対側の手術のセッティングをします。
セッティングだけの問題でないとしても、「片側ずつ手術をした方が結果が確実である」という信念があるのではないでしょうか?
そのような場合は左右同時手術を無理強いしないことをお勧めします。その医療機関なりにベストを尽くすことを考えているからです。
- 手術した方を眼帯で隠せば翌日から他人と対面できる
というメリットがありますよ。
左右同時まぶた手術
- ダウンタイムを最小限にする(半分になる)
- トータルの苦痛を最小限にする
- 左右の術中所見をリアルタイムに比較することが出来る
- 切開デザインの自由度が高い
などのメリットがあります。
頭頂部から覗き込むように手術をする医師(形成外科医師が多い)は左右同時に手術をしやすいのです。
左右同時に手術をする医療機関では、別々の日程で手術をしたいという依頼があれば応えてもらえる場合もあるかもしれません。
左右差のある眼瞼下垂症の場合
「大きい目の方は手術しなくてもいいかなあ…」と思えるくらいの左右差がある場合です。
この場合も
- 片方の手術をする
- 左右両方のまぶたの手術をする
のパターンに分かれます。
患者さんの訴えは
ということですから片まぶたの手術をするのが一見合理的です。
しかしある程度高齢になると、手術した方が若返ってしまうので、見ためで左右差が目立ちます。目の大きさが逆転することすらよくあります(不顕性の眼瞼下垂やへリングの法則による)。
したがってその変化を見越して左右同時に手術をすることも合理的なのです。私の周りの形成外科医師はこの選択をする医師が多いです。
私の考え
左右同時手術をファーストチョイスにします。私は患者さんの頭頂部から覗き込むように手術をするタイプです。だから左右並行して手術ができます。
しかし、
- 見かけの左右差を気にしない
- へリングの法則を理解できない
- 不顕性(代償期)の眼瞼下垂を理解できない
ヒトは無理に勧めません。片方のみの手術をお勧めします。
また、
「左右差が出るかどうか見届けてから反対側の手術を検討したい」
というヒトも片方の手術をします。日程に余裕のあるヒトにはおすすめです。
片方ずつ眼瞼下垂手術をした患者さん
明らかに右の眼瞼下垂があります。右の手術をすると、シーソー現象(へリングの法則)が生じて左右差が逆転することが見込まれました。しかし、左はある程度しっかりまぶたが開いているのも事実。左にメスを入れるのは心の準備がまだ出来ないようです。
右の治療を行い、結果やはり左右差が逆転しました。そこで後日左の治療を行いました。
このやり方は患者さんご本人が十分に納得できます。日程に余裕のあるヒトにお勧めします。
モデルさんその2
左右逆ですが、同じパターンです。
まぶた治療の啓発活動目的に写真を使用することに同意いただきました。ご協力ありがとうございます。(埼玉県の患者さん)
追伸
左右別日程で手術をするのは眼科医院に多い印象です。とはいえ、医院を受診してみないと同時に手術できるかどうか分かりません。
別日程もアリと思いますよ。アナタにとって良さそうな手段を選んでください。
あとがき
秋の訪れを感じる中、静岡の講演会と日本美容外科学会の発表の準備をしています。
人前に立つとガクガクブルブルするビビりマンの私。
「よくぞここまでやるな」と我ながら思います。
「口演を聴いてくれるヒトに最大限のプレゼントをしたい」
との思いで準備をします。
ここ!「準備のプロセス」で自分がとても勉強になるのです。成長するのが分かるのです。充実感を感じます。
こういったチャンスをいただける静岡厚生病院や学会には心から感謝します 🙂
発表準備のためにブログの更新が滞る〜😅