シンポジウムで議論|眼瞼下垂症手術と機能

こんにちは、金沢です。

福岡国際会議場
福岡国際会議場

第59回日本形成外科学会総会at福岡国際会議場です(平成28年4月15日)。

シンポジウム「眼瞼下垂症手術と機能」

シンポジウム発表の機会を与えられました。

「機能的眼瞼形成手術を追究してー左右差を有する症例から学ぶ事ー」

眼瞼が果たしている役割とは?

まぶたの「性能」としての機能(眼を保護する、物を見る)のみならず、他の器官へ影響も含めた広義の機能を評価しました。(例えば、宅配業者は一人住まいの高齢者の安否確認の機能を果たしている…など気づかれにくい機能もあるのです)。

眼瞼下垂症で、まぶたの開き具合に左右差のある患者さんがいます。ということは眼瞼機能に左右で差が生じていることを意味します。治療前後を比較すると、眉の位置、顔の表情筋の緊張、目玉の位置、そして反対側のまぶたの開き具合が変わります。顔の中で様々な器官がお互いに影響し合っているのがよく分かります。

機能的眼瞼形成手術とは?

眼瞼機能に障害があるとそのバランスが崩れ、他の器官の機能を障害します。したがって、眼瞼機能の回復を図り、そして影響を与えた他の器官の機能をも回復することを目的とします。

そのためにも眼瞼機能に影響を与える因子をしっかり分析することが大事。神経や眼瞼挙筋の疾患だけでなく、眼輪筋の緊張や他の器官(反対側のまぶたなど)の影響を見極める必要があります。

具体症例を交えて報告しました。

他の医師の演題(5個)

○眼科医の立場から。群馬大学(UCLA留学中)の鹿嶋友敬先生。眼表面の保護及び眼球運動に連動して動く眼瞼の動きについて説明がありました。

○村上正洋先生(日本医科大学武蔵小杉病院形成外科)は眼科医との連携・協力体制の重要性を説きました。その出発点が下眼瞼内反症の治療であり、その手術結果の評価の仕方に眼科医と大きなギャップがあり、その隙間を埋めるべく、眼科医とキャッチボールできるようになった経緯をストーリ仕立てでお話しされました。眼表面を評価する眼科医と、形態を重視する形成外科医、お互いがコラボすることで「機能的に可及的に正常な再建」を目指すということでした。

○落合博子先生(国立病院機構東京医療センター形成外科)は眼瞼下垂症手術が視機能(主に視力)に与える影響について眼科医と連携して調査を行い、結果を報告しました。(やはり我々が経験するように眼瞼下垂症手術後にメガネが合わなくなるという現象が多く出るようです。)

○幸島究先生(医療法人社団感謝会第2にしむら眼科)は眼瞼下垂症手術のドライアイリスクの評価を行いました。手術による瞼裂高さ(MRD)も年齢によっても変わってしかるべき(高齢なほど小さめで良い)とのことでした。(私も高齢な方は控えめに矯正すべきと思います。)

○松尾清先生(信州大学形成外科)はまぶたは交感神経中枢を制御する因子のひとつであることを発見しました。その根拠となる実験についての説明がありました。交感神経のスイッチであるミュラー筋機械受容器の感度のコントロールが眼瞼下垂症手術で必要である旨を説明しました。(これも広い意味での眼瞼機能ですね。科学的に根拠を捉えました!)

みなさん、アカデミカルにデータを示されて素晴らしいご発表でした。敬服いたします。

御意見お待ちします。

 

 

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