「眼瞼下垂手術をしたら目が小さくなった」
と言ったら信じられますか?
眼瞼下垂手術では同時に皮膚のたるみをとることもできます。しかしコレが落とし穴になる場合もあります。
だからむやみに皮膚のたるみを取ってはいけないのです。この記事ではその理由を解説します。
眼瞼下垂手術でたるみとりをどこまでしてよいのか
目の大きさは、眼球の露出部位の
- 「上下の縦幅(瞼裂縦径)」
- 「目頭と目尻の横幅(瞼裂横径)」
で決まります。つまり「縦✖️横」です。
当たり前ですよね…
しかし、
相手に与える「目の大きさの印象」は違います。
例えばメークをしたまぶた。
びっくりするぐらい変身しますね。
目のフチを黒く縁取るだけでも印象が変わるんです。
とくに目尻側のシャドウは重要です。
目尻の皮膚のたるみは、目の横幅を大きく見せる効果がある
上まぶたのフチの輪郭線が、目尻を超えてこめかみ方向に伸びます。
さらに、上まぶたが下まぶたに落とす影(=キャストシャドウ(cast shadow))が、下まぶたの輪郭線を太く、目尻側に伸ばすことになるのです。
目尻の影=「テールシャドウ(tail shadow)」と(とりあえず)名付けました。
「テールシャドウの、目を大きく見せる効果」についてPhotoshopで検証
photoshopでテールシャドウを消しました(右)。
ほら、目が小さく(かつ奥目に)見えるようになりました。
目の大きさ(瞼裂横径と瞼裂縦径)は不変ですが、印象が全く変わりましたね。
この結果から、「目尻のたるみは完全には消さない方が良い」と結論できます。
横からのアングルも大事
目尻は三次元的に引っ込んでいる
目尻は後方へセットバックしています。欧米人や子供はそれが顕著。
40歳を超えると顔が平坦になります。目尻のセットバック感が急に減少します。
そして「こめかみへ伸びる目尻の影」はそれを代償しています。目尻の影を失うことは「顔の立体感」を失うことになり。そして顔の余白を増やすことになります。
つまりよりアジアンテイストな平坦な顔になるということ。
特に加齢現象による目周りの変化は要注意
50代、60代になると目玉そのものが奥に後退して徐々に落ちくぼみます。
そのため、目の横幅(瞼裂横径)、目の縦幅(瞼裂縦径)が小さくなります。
縦幅は眼瞼下垂症手術(挙筋前転法)である程度は回復可能ですが、横幅の復元は手術では不可能。
目尻のたるみ取り手術をすると、ただでさえ小さくなった横幅をさらに強調する結果に陥るリスクがありますよ。
実際のモデル症例
眼瞼下垂症手術の際に上まぶたの皮膚のたるみ取りを同時に行いました。
目尻側のたるみがスッキリなくなりました。
あれ?
目が小さく見えませんか?
目尻の影(シャドウ)がなくなり、目の横幅が小さく認識されるようになりました。
…ちょっと残念です😰
この写真は誇張ではありません。定規をあてて見てください。
つまり、本記事の疑問「たるみは残すべきか?」の回答は
「目尻のラインを残す程度には皮膚のたるみを残すべき」
ということです。
モデルさん2
以上の反省から、「たるみとり」はやりすぎないことを念頭に眼瞼下垂手術を行います。
目尻の影を残すことが大事です。切除幅は6mm。
追伸
異なるパターンもあります。眼瞼下垂手術治療後に眉位置が下がり、目尻の皮膚のたるみが生まれ、結果的にテールシャドウができて、目がさらに大きく見えるようになることもあります。
追伸2
「目尻のたるみを残すべき」というのは眉下切開でも同じことが言えます。
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