上方視をすると目が覚めて交感神経にスイッチが入る
三叉神経固有感覚の活性化を伴ってまぶたを開けることは脳幹の覚醒反応メカニズムを調節する
松尾清先生の新しい論文(2015年8月)。
三叉神経固有感覚の活性化を伴ってまぶたを開けることは脳幹の覚醒反応メカニズムを調節する
eyelid opening(まぶたを開けること)は、ミュラー筋のセンサーを刺激し、三叉神経中脳路核の固有感覚神経が活性化され、眼瞼挙筋や前頭筋を収縮させる。ことはすでに報告済み。
方法:
青斑核は覚醒や自律神経(交感神経)の制御を司る。今回は上方視(三叉神経固有知覚の刺激)が及ぼす影響として、手掌発汗と腹内側前頭前皮質(ventromedial prefrontal cortex)の活性化を評価した。(手掌発汗と腹内側前頭前皮質の活性化は覚醒の評価として用いられている)
結果:
(1)上方視により発汗が増加した。
(2)上方視により腹内側前頭前皮質が活性化された。
(3)眼瞼の挙上の度合いによって腹内側前頭前皮質活性化の度合いは変化した。
(4)麻酔をしてミュラー筋を麻痺させたら同側の腹内側前頭前皮質活性化は障害された。
結論
三叉神経固有感覚を刺激する開瞼(eyelid opening)は覚醒刺激となる。
まぶたを開ける、こする、あくびをすることにより覚醒する。記憶を思い出すには上方視(固有知覚の刺激)することにより、瞑想は下方視(固有知覚の減少)で促され、ノンレム睡眠は目を閉じることにより(固有知覚なし)誘発される。
考察(一部)
意識障害レベルの評価に呼びかけや痛み刺激により開眼するかどうかが用いられている。刺激により青斑核が刺激され、これが三叉神経固有感覚刺激を伴う開瞼を促し、さらに覚醒し、対象物を注視しようとする。
腱膜性眼瞼下垂があると、開瞼の際、青斑核と腹内側前頭前皮質が健常人よりもより多く刺激されやすい。(下垂患者に多い)筋緊張性頭痛患者は不安障害や気分障害を持つ傾向が認められる。ある種の不安障害の人は腹内側前頭前皮質から扁桃体を抑制するメカニズムに欠陥があるとの報告があり、このことも三叉神経中脳路核、青斑核と腹内側前頭前皮質との接続性が支持される。
以上金沢が一部を要約しました。
以下、私の解釈。
身体の交感神経を賦活化するには上方視。特に睨むような表情が効果的です。逆にリラックスしたいときは目を瞑るか、下方視を。
腱膜性眼瞼下垂になると筋緊張性頭痛や肩こりばかりでなく、青斑核が過剰に刺激されることによる症状がでる。すなわち、不安障害、自律神経失調症、うつ病、不眠症などなど
前頭前皮質腹内側部の興奮は・・・・以下の様な報告もあります。
眼瞼下垂になるとたばこを吸いたくなるかも?
衝動買いにも前頭前皮質腹内側部が影響している。
眼瞼下垂になると衝動買いしたくなる?