「まぶたの厚ぼったさを解消したいので脂肪もとってください!」
と、よく言われます。
そもそも目周りの脂肪は何のためにあるのでしょうか?はたして、切除してもよいのでしょうか?
目玉(眼球)の周りを包み込むトロトロの眼窩脂肪

眼球とその周りの筋肉や神経が描かれています。眼球はソケットに収まった電球のようですが、電球のように周りが空気ということはありません。そこを眼窩脂肪が埋めているのです。視点を変えると眼窩脂肪で満たされた湯船の中に眼球や外眼筋が動きやすい状態で身を浸しているともいえますね。
眼窩脂肪の機能
- 眼球を守るクッション(緩衝材)
- 外眼筋の動きをなめらかに(滑動性)
- 外眼筋へ栄養を提供
- 眼球外眼筋の保温機能(熱産生)(仮説)
- リンパのネットワーク(免疫と物質の循環)
以上のような役割があります。
一方でそのボリュームが目周りの見かけに強く影響します。あり余っているとまぶたがぽよよんと厚ぼったくなるし、少ないとやつれて窪んだ印象(SUNKEN EYE)になります。
見た目の改善を期待して手術中に眼窩脂肪を減量することもあります。
下まぶたのたるみ(目の下の脂肪)に関しては他所にたくさん記事があるからそちらを参照してくださいね。
眼瞼下垂症手術と眼窩脂肪
眼瞼下垂の手術の時に眼窩脂肪が姿を表します。眼瞼挙筋の上に乗っかっているのです。


隔膜を小さく切り開くとプリッと眼窩脂肪がはみ出してきます。眼窩脂肪の収まっているスペースはいくぶんか陽圧気味なのでしょうかね。
可動性に富み、見た目はみずみずしく艶やかで、トゥルトゥルしている「ジュンサイ」のよう。
写真は隔膜を開いて、挙筋腱膜(固定済み)を露出したシーンです。眼窩脂肪があり余っているヒトは挙筋腱膜前までかぶってきます。この眼窩脂肪を上に避けると眼瞼挙筋の筋体が見えます。
ちなみに、もともとひとえの人は挙筋腱膜前面まで降りてきていますが、幅広二重のひとは奥に引っ込んでいることが多いです。
外科医の視点
眼窩脂肪はうまく利用することでまぶたの機能をサポートします。
おまけに、この組織は術後も癒着を起こしにくいので、再手術の際の目印にもなるのです。
関連記事:『眼窩脂肪の再配置でまぶたの動きをスムーズに。手術で滑走性を高め、再手術の安全性も確保』
まぶたの厚ぼったさを解消する目的で部分切除することもあります。ただしまぶたの機能を損なうほど取りすぎてはいけません。
(注:まぶたの厚ぼったさは、皮膚・眼輪筋・隔膜前脂肪・ROOFも影響を与えていることを忘れてはいけません)
モデルさん
厚ぼったいまぶた。厚ぼったさを演出するのは皮膚(の厚み)、眼輪筋、隔膜前脂肪(ROOF)そして眼窩脂肪です。
それらのボリュームをバランスよく切除します。
ただ要注意なのは、皮膚を取りすぎないこと。
なぜなら残された眉側の厚い皮膚で二重を作ることになるので、厚ぼったいふたえになってしまうからです。
この患者さんも6ミリ幅で皮膚切除しました。二重の折れ方が少し厚ぼったいのわかりますか?
6ミリ、これが限界。(個人により限界は違います。安全なステップを踏むなら皮膚切除なしをお勧めします)

加齢変化で目周りが落窪む
加齢に伴って上まぶたの脂肪が減り、落ちくぼんできます。したがって若い時に脂肪を取りすぎるのはリスクがあります。
若い人はとくにあらかじめ理解しておいて欲しい。
一方、下まぶたの膨らみが加齢に伴って強くなってきます。これは眼窩脂肪がはみ出してくる現象。
あとがき
最近Lightroom Classicでの編集をいじっています。ナショナルジオグラフィックの写真を真似て。
生き生きとしたエネルギーを感じたいんです。


ね。生き生きとした絵になったと思いません?😃