こんにちは、金沢です。
眼瞼下垂(まぶたのたるみ)は黒目の位置に影響を及ぼします。じっと正面を見ている時も黒目はやや上に上がり、下三白になりやすくなります。まぶたが下がって瞳孔にまぶたがかかり、視野が狭くなりやすい状況で黒目がさらに上に上がるという、逆作用が生じます。
眼球の位置に影響を与える眼瞼下垂
まぶたが下がり、眼瞼挙筋が機能しにくくなると上直筋が動員されます。眼球が上転するのを制限するためにカウンターとして下直筋が縮みます。その結果、眼球が奥に引っ込み、ロックウッド靭帯に乗りあがって眼球自体が上(頭側)に移動します。
この時点で、
- まぶたが下がることと
- 黒目が上がること
が同時に起こり、視野が狭くなることが加速します。やぶへびです。
下まぶたも下に引っ張られるので下三白になります。
眼瞼下垂で上を見ると眼球が余計に上に回転する。
上を見ると(上方視)上直筋が収縮し、眼球が上転します。この時、眼瞼下垂の目はまぶたに隠れるくらい上転してしまいます。その結果、まぶたの裏に黒目が隠れる人もいます。
金沢雄一郎、他:左右差を有する眼瞼下垂症患者の上方視時の眼位のずれ、第54回日本形成外科学会総会、徳島、2011年4月13−15日
眼瞼下垂になると天井を見ることが困難になります。
実際のモデルさんを見てみます。


悲しいかな、下垂している目の方が上転する量が過剰です。もはや視野を失っています。上方視では右目だけで見ています。
あなたは顎を引いた状態で天井を見ることができますか?
- 年齢:**
- 性:女性
- 手術:両側の挙筋腱膜修復術
- 皮膚切除:なし
- 脂肪切除:なし
- lateral horn リリース:なし
- 下位横走靭帯:左右とも発達は弱い
- 挙筋腱膜の滑り:右:0 1(2)3 4 左:0 1 2(3) 4
- 挙筋前転:右:微量 左:微量
- ミュラー筋処理:左右ともなし
- 手術時間:40分
眼瞼下垂症治療啓発目的に写真使用することに同意いただきました。ご協力ありがとうございます。(埼玉県の患者様)