眼瞼下垂術後症候群(仮称)

眼瞼下垂術後症候群

「顔つきの変化に気持ちが追いつきません」

「まぶた手術後にまぶた内部のつっぱり感に悩まされています」

目次

眼瞼下垂手術に特有の術後合併症

眼瞼下垂手術後に悩む人々👥がいます。ある意味術後合併症。

手術合併症といえば出血、感染、傷が開く、再発、神経障害などが一般的です。

術後合併症:最善を尽くしても一定割合で生じる不具合、病的な状態のこと。医療ミスとは異なる。

眼瞼下垂手術も一般的な合併症はありますが、眼瞼下垂手術に特有の不具合があります。
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  • 目のつっぱり感
  • 眉間の凝り、痛み
  • きわしい、濃い目つき
  • 瞼が重く感じる、目の疲れ
  • 眉が下がりすぎて目と眉が近くなりすぎる
  • 眉下領域(鼻根部含めて)の皮膚がだぶつく
  • 上方視、正面視を維持するのが難しい(頻度小)
眼瞼下垂術後症候群

イメージです

これらをひっくるめて『眼瞼下垂術後症候群(仮称)』と私が独自に命名です。
端的にいうと、
一見すると目の開きが良くなっているが、本人は手術をしたことを後悔しているパターンです。
程度もグラデーション(スペクトル)があります。線引き次第です。厳しい見方をすれば、眼瞼下垂手術を受けたケース全例で生じているともいえます。

執刀医にも理解されないことがある

強い根拠があります。モニター写真として、ビフォーアフター写真がウェブに掲載されていることがありますよね。そのモデルに、眼瞼下垂術後症候群の患者さんが使用されているのを見ることがあるから。

つまり執刀医は”術後症候群”を手術で引き起こしておいて、それを認識していないのです。

実際、悩む患者さんは眼瞼下垂自体は治っています。執刀医に訴えてもそれ以上取り合ってもらえません。

だからこそ、眼瞼下垂術後症候群(の内容)を知っている執刀医に委ねることが大事なのですね。

発症しやすいタイプ

長年の眼瞼下垂で代償機構が長期間作用していた人。例えば眉を上げる習慣が20年以上定着していた人。術後の眉位置の変動が大きく出る可能性があります。

前葉下垂の人。コッテリ一重まぶたの人。後葉を持ち上げる挙筋は元々しっかり動いています。元々しなやかさの無い前葉に過大な動きを強いることになります。印象変化は絶大です。

手術における対策

変化量を小さくすること。

時速50キロまでしか出なかった普通自動車にスーパーカーのエンジンを乗せるような大きな変化をもたらしたらボティもタイヤも耐えられません。

挙筋前転の量も控えめに。目を大きくしないこと。皮膚を切除しすぎないこと。

高齢であればあるほど変化量を小さくすべきです。70歳超えたら1.5ミリの開きの改善、80歳超えたら1ミリの開きの改善で十分です。

※最善を尽くしても限界はあります。

眼瞼下垂術後症候群に対する治療法

結論からいうと振り出し(手術前の状態)に戻すことはできません。これがつらいところ。

各症状に対して、ひとつひとつ対策をとるのみです。

そして現実的な手段として、現状を受け入れて共存するマインドを作ることです。

まとめ

  • 眼瞼下垂術後に特有の不具合がある=眼瞼下垂術後症候群(仮)
  • 目つきが大きく変わり、その変化に気持ちが追いつかない。一度なったら治すのが難しい
  • 初回から熟練した医師に委ねること(予防が大事)

※念を押しますが、これは私個人の見解解釈です。

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この記事を書いた人

金沢 雄一郎のアバター 金沢 雄一郎 形成外科専門医

医師免許(第400795号)、医学博士。形成外科専門医。大学病院で眼瞼専門外来を設立。2016年からは独立医師に。所属学会:日本形成外科学会、日本美容外科学会。
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