眼瞼下垂の各種術式(挙筋前転、切らない眼瞼下垂、眉下切開、ミュラータック)の特徴(利点、欠点)を一覧で比較

眼瞼下垂各種術式の比較
「切らない眼瞼下垂手術ってなあに?」
最近よく聞かれる質問です。まぶたの裏(結膜側)から糸を通して内部をギュッとぬい縮める術式です。まぶたの表の皮膚に切開縫合線の痕が残りにくく、ダウンタイムが短いメリットがあります。
一方、切らない下垂手術の術後修正を求めて受診される方も今までに20名以上ありました。あいにく修正には皮膚切開が必要。それぞれの術式について、複数の視点から比較・検討します。
目次

眼瞼下垂の各種術式について各項目ごとに比較

ダウンタイムだけでまぶたの術式を比較検討していませんか?

ダウンタイムが短いことはいうまでもなく望まれる要素。一方、後戻りの頻度やその修正手術の難易度も、それぞれにことなります。それらも含めて術前に検討してください。

「この術式が絶対的に優れている」というものはありません。

患者さんのまぶたの状態や気持ち、生活環境などにより、それぞれに適した術式があります。皮膚切開に抵抗のある人もいればまったく抵抗のない人もいますからね。

以下は私個人の見解です。担当する医師の知識・技量により、結果はばらつきます。あくまで「一般の形成外科専門医が担当した場合」のものとご理解ください。

眼瞼下垂手術比較表

挙筋前転法 ミュラー筋前転法 眉下リフト 切らない眼瞼下垂手術 経結膜眼瞼下垂手術
別の言い方 腱膜固定 ミュラータック 眉下切開  埋没式下垂手術
手術時間 40分〜120分 60分〜120分 40分〜90分 15分〜30分 30分〜60分

経皮的アプローチを併用すればその分伸びる

執刀する医師数 多い 少ない 中くらい 少ない 少ない
ダウンタイム 普通
腫れ 普通 少ない 少ない
後戻り 少ない 普通 普通 多い 普通
再手術の難易度 平易 困難 平易 困難 困難
微調整 平易 困難 中くらい 困難 困難
ミュラー筋損傷 なし あり なし あり あり
適応症例 限定なし 限定なし 限定される 限定される 中等度

*参考までに、重瞼術(ふたえにする手術)の場合。

注意:これは眼瞼下垂の手術ではありません。
挙筋前転法 重瞼術埋没法 重瞼術切開法
別の言い方 腱膜固定  瞼板法、挙筋法
手術時間 40分〜120分 10分〜40分 30分〜50分
執刀できる医師数 多い 多い 多い
ダウンタイム 普通
腫れ 普通
後戻り 少ない 多い 普通
再手術の難易度 平易 平易 平易
微調整 平易 困難 普通
ミュラー筋損傷 なし 挙筋法はあり なし
適応症例 限定なし 限定される 限定なし

追記

眼瞼下垂手術やふたえ手術で、「切らない術式」を選択し、結果が思わしくない場合はどうしたら良いのでしょうか?そうです。皮膚切開が必要になるのです。

したがって、「切らない」手術を選択した場合、もしかしたら後に「切る」手術が必要になるかもしれないことを覚悟しましょう

最後に

こんな術式もあるよという情報がありましたらご連絡くださいませm(_ _)m。

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この記事を書いた人

金沢 雄一郎のアバター 金沢 雄一郎 形成外科専門医

医師免許(第400795号)、医学博士。形成外科専門医。大学病院で眼瞼専門外来を設立。2016年からは独立医師に。所属学会:日本形成外科学会、日本美容外科学会。
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