今回はかなりマニアックな内容ですから、興味のある人だけ読んでください。「眼瞼下垂症の治療後におでこのしわが消えました。さてその分の皮膚のたるみはどこへ行ってしまったのでしょうか?」という疑問がわきます。若い時は皮膚の弾力性で吸収されますが、加齢した肌は吸収しきれず、余った皮膚がどこかへ現れるのです!
眼瞼下垂症術後に、鼻根部(眼と眼の間)の横皺が増える(深くなる)
なぜ、鼻根部の横ジワが増えるのでしょうか?
眼瞼下垂症になると、前頭筋の不随意的(無意識)な収縮が生まれ、眉が挙上されています。すると、
- おでこじわが現れる。
- 眉下の皮膚が縦方向に引っ張られる。
- 鼻根部の皮膚が縦方向に引っ張られて伸びる。
ことが起こります。
従って、眼瞼下垂症の術後におでこの力が抜けると、眉の位置が下がり、
- おでこじわが消える。
- 眉下の皮膚が縦方向に余る。
- 鼻根部の皮膚が縦方向に余る。
ことが生じます。
鼻根部の横ジワの対策はあるでしょうか?
1.のおでこジワが消えることは歓迎されます。
2.の眉下の皮膚の余りは手術時に切除されれば解決します。
しかし、3.に対する手段がありません。
若年のヒトは皮膚の弾力性で皺にならずに吸収されますが、ある程度年齢を重ねた肌が固くなっており、余った皮膚が縮まずに折れてしまいます。もともと横皺があるヒトはそこがより深くなります。これは正直残念な変化です。
もともと眉毛挙上が強かったヒトで、術後の眉毛下垂が顕著に生じるとはっきり横皺が現れます。
眉上の皮膚切除を行うことによる眉毛挙上では鼻根部の横皺は改善しません。
皮膚のタイトニングレーザーでなんとかならないでしょうか?難題です。
名古屋の平田先生が眉間の皮膚切除をする手段をかつて報告されていました。しかし、そこに傷跡が残ることに抵抗があります。十分に納得した上でなら良い選択肢と思われます。
2015年10月現在の私の対策としては、
術前の眉毛挙上が強いヒトに対して、ある程度ミュラー筋負荷を残す(下垂の治療としてはアンダー気味)ように仕上げるようにしております。術後の眉毛下垂が極端に起こらないようするためです。おでこの横皺は多少は残るほうが良いと考えます。
尚、この度の写真掲載に協力いただいた患者様(ありがとうございます!)の鼻根部の横皺は多少生じています。術後、眉が落ちすぎないように祈りました。結果OKです。(静岡県の患者様)
あなたの鼻根部(目と目の間)に横ジワはありますか?