こんにちは、形成外科専門医の金沢です。
「いわゆる整形顔になりたくない!」
これは、多くの眼瞼下垂患者さんが手術を受ける際に懸念する事項のひとつです。
顔にメスを入れると言うことが社会的にはまだまだ受け入れられていない現状。どうしても気になるものです。
実はこれ、ある程度は避けられない現象なのです。それはなぜか?その理由を解説します。
眼瞼下垂症手術で切開した「きずあと」のくぼみ
ずばり、
二重(ふたえ)手術の失敗例のひとつとして、キズのくぼみ(食いこみ)えも話題になります。目を閉じても切開瘢痕がガッツリくぼんでいると、いわゆる整形顔と指摘されやすくなります。
なぜ、くぼんだ線ができてしまうのか?
術者視点で、二重をしっかり深く作るために、以下のことをしています。
- 皮膚切開部を瞼板に縫い付けて固定する
- 瞼板前の脂肪や眼輪筋をしっかり切除して瞼板前皮膚を瞼板に癒着させる
すると、目を閉じた時に目立つくぼみが出来ます。特に若い人は不自然になります。なぜならば目を閉じたときは、ふたえの谷間は平坦になるのが自然だからです。(40歳を超えるとふたえの谷間は残ります)。
なぜ、深い二重(ふたえ)を作ろうとするのか?
二重の谷間をグイッと食い込ませる。それは安定した二重を作るためです。幅広のふたえのデザインをしたり、こってり一重まぶたの手術をする際に起こります。後戻り(二重が浅くなってしまう)したり、予定外の三重の線が現れるのを予防するためです。
自然なふたえの線にするためにできる事
- 瞼板前の組織(脂肪や眼輪筋など)を残す
- 余らせた腱膜の断端を縫合部に緩く連結させる(眼瞼挙筋の収縮に伴ってふたえの谷間が奥に引っ張られます)
しかし、これも程度問題です。このような処理をした結果、厚ぼったい一重(ひとえ)の人は術後にふたえが浅くなるリスクがあります。ふたえの谷間の引き込みが浅くなると、三重などの予定外重瞼線ができることもあります。
私の方針としては、瞼板前の組織を極力残すようにしています。理由はふたつ。
- 自然な二重にしたい
- 重瞼が浅くなったり、予定外重瞼線ができることのほうが、修正余地が残される
です。もちろんこれは理想論です。現実には下のような事になるのが現状です。
患者さんモデル
左の眼瞼下垂を認めます。シンプルに左のみ手術を行いました。
伏し目(下方視)の写真、左右で比較
右は正常。自然なふたえです。右は触っていませんからね。一方左は手術した痕跡がみられます。
くぼんだ線が内側(鼻側)に見られます。
「後戻りしにくい安定した二重を作りたい」
「予定外の折れ線を作りたいくない」
との術者の思惑が、このようにくぼみを強調した仕上がりにしてしまうのです。
悩ましいですね。
残念ですが、ある程度の変化は受け入れる覚悟は必要です。
関連記事:『眼瞼下垂症術後のきずあとが目立つ4つの構造的要因』
眼瞼下垂症啓発目的の写真使用に承諾頂きました。ありがとうございます。(埼玉県の患者様)
まとめ
以上、
- 眼瞼下垂手術で切開線がくぼむことがある
- 窪まないように処理すると、二重が浅くなったり、三重などの予定外の線が出ることがある
- 実際のモデル症例
を提示しました。
さて、あなたは、
- 伏し目にした時は二重の谷間は平坦になる(くぼまない)が良いですか?
- 二重の谷間をくぼませる理由(事情)が理解できましたか?
- 不安定な二重(浅くなる、三重になる)のと、安定したくぼんだ二重とどちらが良いですか?
考えてみてくださいね🤗