目薬で目が大きくなる?眼瞼下垂が治る?それは血管収縮剤が原因

点眼する写真

「目薬をさすとまぶたが挙がるんです」

そう語るのは、まぶたが下がった眼瞼下垂の患者さん。

その場で点眼してもらいました。確かに目が大きくなりました😳wow!

目次

点眼薬で目が大きくなる理由

「白目の充血を抑え、白目をより白く見せる効果がある」とのことで商品化された点眼薬です。

その正体は

「塩酸テトラヒドロゾリン」

血管収縮剤です。目の表面の血管を収縮させ、目立たなくすることで充血が消えるんですね。

メカニズム

交感神経作動薬として「アドレナリンα1受容体」に作用します。交感神経スイッチです。

  • ミュラー筋(Müller’s muscle)は交感神経支配(アドレナリンα受容体)
  • ミュラー筋はまぶたを持ち上げる筋肉
  • 交感神経作動薬でミュラー筋が収縮する

その結果、まぶたがあがるのです。「ミュラー筋の機能が弱っている人」に効果がありそうです。

ミュラー筋のにはα2が多いらしい…

アドレナリン受容体は種類があり、その優位性は「α2>β1>α1,β2」

Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 1999 Mar;15(2):92-9. Distribution of adrenergic receptor subtypes in the retractor muscles of the upper eyelid. Esmaeli-Gutstein B, Hewlett BR, Pashby RC, Oestreicher J, Harvey JT.

α2受容体の機能はよくわかっていないとされるが、彼らによるとまぶたを後退させていることが示唆されたとのこと。

アプラクロニジンの点眼はまぶたを持ち上げる

α2+α1作動薬の点眼は交感神経麻痺側の瞳孔を大きくする。(まぶたも持ち上げる。)診断に有用。

Br J Ophthalmol. 2005 Nov; 89(11): 1442–1444. The sensitivity and specificity of 0.5% apraclonidine in the diagnosis of oculosympathetic paresis F Koc, S Kavuncu, T Kansu, G Acaroglu, and E Firat

とのこと。でも、健常者の45%でもまぶたが持ち上がったらしく、眼瞼挙上効果に関しては、かならずしも患者さんに特有の現象ではないようです。

今回の目薬はα1スイッチ

そのα1スイッチでミュラー筋の収縮が見られます。フェニレフリン(眼科で用いられる散瞳薬)はα1作動薬です。これも眼瞼下垂の診断や研究にもちいられることがあります。

ミュラー筋が弱っている人って?

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効果は一時的

点眼された薬剤の効果は、間もなく消失します。それは、充血が解消される時間が限られていることからも分かると思います。

注意点

実はここに罠があります。瞳孔が開くことで緑内障(眼圧が高い)が悪化する人がいます。だから緑内障持ちの人はこのタイプの点眼は使用できません。ようく添付文書を読んでくださいね。「房水」が流れ出る出口が狭くなり、眼圧があがってしまうことがあるのです。

血管収縮薬はあくまで対症療法、応急処置としての使用です。一時的に交感神経のスイッチを刺激するもの。使いすぎるとスイッチが壊れてしまい、充血が悪化するかもしれません。常用することはオススメしません。

本ブログは特定の点眼薬の使用を推奨するものではありません。生理学を考察するものです。あらかじめご了承ください。

追記:この薬理作用を使った眼瞼下垂点眼薬が生まれました。

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