眼瞼下垂症術後に目尻の重瞼線がふたまたに|二重(ふたえ)の線はもともと2つある

まぶたの手術後に目尻のふたえの線(重瞼線)が二股(ふたまた)になることがあります。狙い通りのところでふたえになって折れないため、残念な気持ちになります。なぜこのような現象が起きるのか?まぶたのプレートテクトニクス理論とは?対策はあるのか?検証してみます。

なぜ目尻のふたえの線が二股(ふたまた)になるのか?

モデル患者さん

眼瞼下垂術前術後の写真。目尻の重瞼線が二股に
眼瞼下垂術前術後。目尻の二股の線
眼瞼下垂手術後の写真。目尻の二股
目尻の重瞼線がふたまたに

右目尻のふたえの線が、外に向かってふたつの線に分裂しています。このふたまたの線の間に縫合線が入ることも時にあります。必ずしも縫合した線で綺麗に深く折れるとは限らないのです。

重瞼線は少なくとも2本ある

関連記事:『重瞼線(ふたえの谷間)は最低2本ある✌️』

そもそも重瞼線は機能解剖的に少なくとも2本あります。まつ毛よりの浅目の線とそれより上方の大きな凹みになる線です。この2本の線はまぶたが開いている時は隠れているので目立ちません。しかし目尻側では2本に見えます。以下が実際のモデルさんの写真です。

目尻の重瞼線
目尻の重瞼線。ふたまたに見える。
目尻の重瞼線
アジア人も例外でない。
男性目尻の重瞼線
男性も例外でない。目尻の重瞼線がふたまたに。
複数の重瞼線
複数の重瞼線

つまり、まつ毛よりの重瞼線は上方の重瞼線に飲み込まれており、普段は隠れているんですね。

関連記事:『全切開の幅広ふたえが不自然な訳|ふたえの線が2本ある【続編】』

重瞼線は機能解剖的に存在する

まつ毛よりの重瞼線(下位重瞼線:Lower-positioned Crease)

「挙筋腱膜の端っこ」が眼輪筋や皮膚へ繋がります。まぶたを持ち上げる時に眼瞼挙筋が収縮し、重瞼線部分を優先的に引き込みます。直接的もしくは間接的に重瞼線で引き込まれます。これが睫毛(まつげ)よりの重瞼線です。

外側は折れ癖の延長になります。目尻側の重瞼線は下降し、目尻のシワ(カラスの足跡)に繋がります。これは眼輪筋(外側)の影響です。眼輪筋の影響も無視できません。

まぶたを閉じた状態から目を開けると、ここにまず折れ線が入ります。(スローモーションで確認できます)

上方の二重の線(上位重瞼線:Upper-positioned Crease):プレートテクトニクス理論

一方、眼窩の縁(いわゆる眉骨)やその下の眼輪筋、眼輪筋下脂肪(隔膜前脂肪)、隔膜などのまぶたの硬くて重い前葉成分があります。その下に滑り込むようにまぶたが埋まりこみ、重瞼線ができます。これが上方の重瞼線です。

プレートテクトニクスのように大陸が大陸の下に滑り込んで行きます。

目尻側に行くと、中央部分の厚い皮膚の折れ癖が延長して伸びます。

※目尻側は眼窩の縁をまたぐことになるのでプレートテクトニクス理論による重瞼線はできません。

まぶたの手術をするとまつ毛よりの重瞼線と上方の重瞼線が一緒になる

お互い近接したところに重瞼線が存在すればその辺りを切開することにより、切開線が「新たな重瞼線」となります。

一方、まつ毛よりの重瞼線と上方の深い重瞼線は手術後も機能解剖的に存在しています(はずです)。中央部分(黒目の当たり)ではそれぞれが平行に走っているので自然にまとまります。

しかし、目尻側ではベクトル(方向)が異なるため、ふたまたに分かれる線が生じるのです。

二重の線が二股(ふたまた)になることへの対策は?

特効薬はありません。無理に強くアンカリングしたり、眼輪筋を処理するなどして一方の重瞼線を消すことも試みますが、狙い通りにいかないこともります。つまり、修正手術がうまくいかないこともります。

上のモデルさんの写真のように、目尻にふたまたの線が出ても、それは不自然ではないのです。なぜならもともと自然に存在する解剖だからです。

ゆう
これは手術前に覚悟してくべきポイントかもしれません。

眼瞼下垂症の啓発目的での写真使用を承諾していただきました。ご協力ありがとうございます。(埼玉県の患者様)

追伸

同じメカニズムで目頭側も二重の線がふたまたになることがありますよ。

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