眼瞼下垂の手術後のきずあと、瘢痕が残ることの見かけ以外の問題とは?

傷が残る眼瞼下垂術後のきずあと

皮膚を切開するとそこは必ず「きずあと」になります。

「瘢痕(はんこん)」とよばれます。残念ながら瘢痕が消えることは一生涯ありません。そして、瘢痕は見かけの問題だけでなく、様々な影響を残します。その影響を解説します。

なぜ瘢痕になるのか?

皮膚の傷(創傷)ができると、修復メカニズムが発動します。

皮膚は外敵から身を守るバリアであり、かつ身体の内部の体液をとどめています。

傷ができるとバリア機能が破綻します。これは修復しなくてはなりません😨

身体が速やかに反応します。局所の細胞たちが周りにシグナルを発し、傷を修復するための細胞たちが集まってきます。

傷が治る過程で3つの事が起こります。

(1)収縮(しゅうしゅく):傷がキュッと縮んで傷のサイズをどんどん小さくしていきます。筋線維芽細胞のチカラです。

(2)肉芽(にくげ)の造成:線維芽細胞が集合し、彼らがコラーゲンをせっせと作り、キズを埋めていきます。線維芽細胞が活動するための足場にもなります。建設現場の足場のようなものです。

(3)上皮化(じょうひか):表皮細胞(皮膚の一番浅いところの細胞:角質を作る)が周りからゾロゾロはい出してきます。最後のコーティング作業です。

皮膚が閉じられると、修復メカニズムは終わりへのステージへ進みます。

しか〜し、そのプロセスが長く、1年程度かかるのです。

傷を修復するための足場(コラーゲン)が解体、除去されていきます。それにつれて瘢痕の硬さが和らいでいきます。

最終的には「成熟瘢痕」という組織におちつきます。のっぺらした肌色です。これは正常組織とは異なります。「傷が残る」とは「瘢痕が残る」ということです。

コンクリートのヒビ割れを埋めた素材がみえている状態です。

瘢痕の問題

きずあと(瘢痕)は何が困るのでしょうか?

  • 見た目が正常と違う
  • 汗腺を欠く
  • 弾力性がない 伸び縮みしない (曲げたりはできる)
  • 液体の循環がブロックされる:2回目以降の手術は局所麻酔の効きがまだらになる
  • 細胞の移動もブロックされる
  • 血液の循環も乏しい
  • 知覚鈍麻もしくは過敏
  • 硬い:収縮したまま 化繊の生地にアイロンを当てて焦がした状態
  • 短期的には赤みを帯びる
  • つっぱり感の原因になり、運動障害を起こす

(注意:ちなみにケロイドは軟骨レベルの硬さです。関連記事:『眼瞼下垂症手術とケロイド』

そして。いちばんの問題は、「治せない」ことです。手術で取り除いても、その手術の跡が瘢痕になります。

まぶたの瘢痕

見た目の問題は言うまでもありません。(関連記事:『眼瞼下垂症術後のきずあとが目立つ4つの構造的要因』)

それだけでなく、まぶたの動きが瘢痕によって制御されるのです。

まぶたの皮膚は、三次元的に伸びて縮んで折れてを繰り返しています。

特に目頭側はちりめんジワが縦と横に走ります。上下だけでなく横方向にも伸びたり縮んだり、アコーディオンのように折れて伸びてを繰り返します。

でも、縦にも横にもアコーディオンのように伸び縮みするものってあるでしょうか?

目頭の瘢痕はそこを横切るんですね。だから縦方向もしくは横方向の伸び縮みをブロックしてしまうかもしれないんです。

しかも瘢痕は二次元じゃないです。奥行き(深さ)もあります。「ふたえの谷間で折れる動き」も制御を受けるでしょう。

だから目頭側の瘢痕が二重(ふたえ)の仕上がりを邪魔することがあるんです。つっぱり感の原因にもなり得るし、まぶたの開き加減も影響を受けるのです。

この点が目頭側の瘢痕の悩みなんですよね。

モデル患者さん

まずは典型的な退行性(腱膜性)眼瞼下垂の患者さんです。多重瞼(複数の二重のライン)です。

シンプルな挙筋前転法(腱膜固定手術)を行いました。

眼瞼下垂手術後
シンプルな眼瞼下垂手術を行なった

そして、きずあとです。目頭にあった二重の谷間を縦断する「縦じわ」が術後は途切れています。

眼瞼下垂術後のきずあと
目頭の皮膚の動きが追従できていない可能性

縦じわを作るのは横方向の伸縮です。その動きが瘢痕でブロックされている可能性があります。この点が気になりますね。

一方、ふたえの谷間は上下(奥手前)方向の動きなので、瘢痕でブロックはされません(されにくい)。

眼瞼下垂術後上方視
ふたえの谷間が動きが良くなった

副次的に血走った白目が、手術後から白くなる事があります。このことに関してはこちらの記事を参照してください。

関連記事:『眼瞼下垂で目が充血??頭痛との関連は?』

※眼瞼下垂症啓発目的に写真を使用することに同意いただきました。ご協力ありがとうございます😊
尚、当記事は特定の手術をプロモートするものではありません。まぶたの生理学を追究するものであり、いち形成外科医が考察する雑記であります。皆さんと情報を共有し、まぶたの真理を追究することが目的です。手術自体はリスク(出血、傷が残る、左右差、違和感など)があり、慎重に検討されるべきです。

 

 

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眼瞼下垂術後のきずあと
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