裏どめの埋没は必ず医師に申告して
埋没は普遍的な手技。一般的には結び目(糸玉)は皮膚側にあります。これを「表どめ」といいます。
一方、結び目を瞼の裏側に置く方法があります。「裏留め(うらどめ)」です。表から見えないメリットがあります。
通常の埋没法は結び目(糸玉)が皮膚の下にあります。一方、裏留め埋没法は結び目が結膜側(眼球側)にあります。
裏留めをした方は強く認識しておいてください。気高く念じて意識しておいてください。
その理由を説明します。
それは糸を抜き取る方法が極めて特殊だから。
眼瞼下垂手術の際に埋没の糸を処理する必要があります。眼瞼下垂手術の際にじゃまになるから。だからあらかじめ抜去されていることが望ましいです。
埋没法をスクリューに例えます。
普遍的なプラスドライバーでスクリューを外せるのが表どめ、メーカー特有のヘッドのスクリューで特殊ドライバーが必要なのが裏留めです。
つまり裏留めの糸は埋没執刀医に依頼することにします。
しかし、やはりというか「埋没執刀医に依頼したけど断られた」「埋没執刀医にトライしてもらったけど抜去できなかった」という事案が発生しています。
(さしあたって機能的な問題がない、あるいは皮膚切開の予定がない場合は触らずに置いておくほうが無難かもしれません。)
というわけで眼瞼下垂手術執刀医がその対処をすることになります。
結膜側から抜糸できなかった場合、皮膚切開のときに抜去を試みることになるわけですが過剰な侵襲をともなうのは避けられません。挙筋腱膜をめくる必要があり、ミュラー筋の損傷、出血が予想されます。その分結果にも影響します。
外科医はベストを尽くします。例えば私は1.5倍の時間枠を確保します。
そのためにもあらかじめ「ウラドメである」と確実に申告しましょう。その態度があなたの身を守ります。
注)”裏留め”を否定しているわけではありません。抗血小板治療・抗凝固療法をしている人がそれを申告する必要があることと同じです。
実際の埋没法(ウラドメ)を眼瞼下垂手術中に抜糸するシーン
結膜側から取ることができず、眼瞼下垂手術の皮膚切開のアプローチの際に抜糸しています。
(動画は医療従事者向けです)