丸一日、お邪魔しました。
夏井睦(マコト)先生

夏井睦先生とカミジョーさん
創傷治療の専門家。
創傷治癒を阻害しないことを追究した結果、消毒をしない、そしてガーゼを使用しない創傷管理に行き着きました。そしてひたすらに啓発活動をされています。わたしも影響を受けております。
わたしも消毒しない、乾燥させない治療を行っていますが、近年頓に思うのは創傷管理に関して、「形成外科医は不要になった」ということです。
オリエンテーションといくつかの注意点を覚えていただければ、創傷管理はセルフでできます。
かつてのやけどの治療はガーゼで覆っていました。ガーゼ交換の時は痛みとの格闘でした。こどもも大泣き。医療スタッフも汗だく…
今のやけど治療は
- 消毒しない
- くっつかない創傷被覆材
なので、痛みもないので子供もケロッとしている。僕らスタッフも本当に楽になりました。「治療」なんて大それた表現は使いたくないです。「やけどのケア」と呼びたいくらい。
「皮膚の全層欠損があれば皮膚移植をしないと治らない」なんて言われた時代が、わずか10年前にあったのです。その時は確かに形成外科医は必要だったかもしれませんが。今はケアで治るんです。
とは言え、時折悩むのがドレッシングの固定方法。「ドレッシング」とは「創部を創傷被覆材などで覆うこと」です。指、足、背中、関節部位など身体のあらゆる部位に対応します。
日常生活に支障のない程度に、3次元の立体構造に合うよう、かつ動きを妨げないよう、被覆材に切れ込みを入れたり、また、肌に優しいテープを選択して…
それでもズレてしまったり、テープでかぶれてしまったりするんです。
カミジョーさんのキズのドレッシングさばきが冴え渡っていました。身体を優しく支えてテープをはがし、キズをすすいでさらさらと被覆材を当てていきます。
さすがはこの道?年職人技です。二手三手、先取りした滑らかな動き。芸術的ですらあります。思わず見とれてしまいました。
一方、夏井先生はトークを切らしません。本当に楽しそうに外来を進めます。
参考になりました。こういう見学って、具体的なスキルというよりは「場の空気」「マインドセット」「ノリ」を身体に記憶させることに意味があると思います。
さて、夏井睦先生は最近は「糖質制限」で世間を賑わせています。
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診察の合間に糖質制限ネタトークで盛り上がりました。
穀物とヒトとの出会いとは?。麦なんて路傍にちょろりと生えているものだった。それを栽培してみようなんていったいどこの誰が考えたのでしょうか?でも、穀物の栽培技術を獲得したことが、人類の文明が爆発するきっかけになった。
想像が膨らんで面白いですよ。
追伸
夏井先生は江東区に個人クリニックを開業されました。