眼瞼けいれんの症状、所見、原因、対処法など

眼瞼痙攣のシワシワ皮膚白黒

「まぶしくて、目がしょぼしょぼして、目を開けているのが辛いんです… 」😭

眼瞼けいれんは、日常生活に著しい障害をもたらします。しかしその病気自体が世の中に認知されておらず、患者さん自身が「自分が病気である」と自覚できません。臨床医でも知らないヒトが多いし、医師国家試験にも出題されません(多分)。いったい、眼瞼けいれんは何が問題なのでしょうか?対処法はあるのでしょうか?

目次

眼瞼けいれんって?

「目を閉じる筋肉(眼輪筋)が、本人の意図に反して強く縮もうとしている状態」です。疾患概念自体があいまいなのですが…「強直性眼瞼痙攣」とも呼ばれます。

診断根拠はガイドラインで整理されてきました。

日本眼科学会:眼瞼けいれん診療ガイドラインpdf

とはいうものの、ガイドラインを利用するためには、患者さんを見た瞬間に「眼瞼けいれん」を疑うことが必要。

この点において、眼瞼痙攣を知らない医師が多いことは誠に大きな問題です。つまり、診断前のステージで患者さんがフィルターから漏れて落ちてしまうのです。

とはいっても、可能な限り多くの人がこれを診断できるようにしたいものです。今までは、医師の長年の経験に基づく、無意識下での情報処理(暗黙知)に依存していましたから。

日常の診療の中で、眼瞼けいれんの患者さんに見えてくる共通項があります。少しでも診断の助けになるようにキーワードを列挙してみます。

眼瞼けいれんの症状

自覚症状

まぶしい:太陽も、くもりも、白色の蛍光灯も。室内でもサングラスをかける人もいる。関連記事:『眩しいライトを顔に浴びて目を開け続けられますか?眼瞼けいれんの症状』

目がしょぼしょぼする:ドライアイのような症状。5割以上はドライアイの訴えで眼科を受診する。眼球を抑える圧が強いのだろうか?「まばたき」は涙をワイパーのように塗り広げる機能がある。メニスカス(下まぶたの縁の涙の溜まり)が少なく、涙液を広げることが難しい上に、乾いたワイパーが目の表面を刺激している可能性。

目を閉じているのが楽:第三者に「なんで寝てるの?」といわれる。

伏し目にしている方が楽:正面や上を見上げるのが疲れる。正面や上をみることができない。

他覚所見(人から見た症状)

眉が下がる:眉の位置が降りて、目と眉が近くなります。(Charcot徴候)

眉間にシワ:けわしい顔つきになります。

まばたきが多い:眉ごとまばたきしてしまうことも。意識してまばたきをすると動きがぎこちない。

皮膚がビロビロにのびている:長年のけいれんによるものか?ネズミの皮膚のようにビヨーンと伸びる。

ちりめんジワが縦横に細かく刻まれている:眼輪筋の収縮が、目を中心にした放射状のシワをつくる。

眼瞼けいれんのシワシワ皮膚
皮膚はシワシワ
眼瞼痙攣のシワシワ皮膚白黒
白黒にすると皮膚の質感が分かる

目尻にびらんがある: 涙液や目やにがたまって皮膚が荒れる。たまに皮膚が裂けるような痛みを感じることも。

曖昧ですが、「眩しそうな表情」というのもあります。

※「眼球使用困難症」

あたらしい呼び名です。若倉雅登(井上眼科病院名誉院長)先生の提唱です。

眼瞼けいれんの原因(と疑われているもの)

このような人に多いという経験則によるものが中心で、そのメカニズムはまだ分かっていません。

薬の副作用

向精神薬や睡眠導入剤を長年にわたって使用している。

外傷など

埋没法による重瞼術を受けている。過去にまぶたや眉の怪我をしたことがあり、傷跡がある。

環境要因:

精神的に追い詰められている。家族の介護、仕事のストレスなどなど

けいれん患者さんに起きた共通の、日常生活でのイベント

  • 車を運転していて接触事故を起こしたことがある。
  • 散歩中に電信柱にぶつかったことがある。
  • 側溝に足を踏み外したことがある。
  • 第三者から「会話中になんで寝てるの?」と言われた。
  • 仕事が手につかずに退職した。

普段の生活に多大な支障をきたしていることがわかります。

治療法

ボツリヌス毒素注射:筋肉を麻痺させる。2026年時点でもっとも根拠のある治療。根本治療ではなく、定期的に治療を行う必要がある。

治療のリスクとして、効きすぎによる眼瞼下垂がある。しかし、そのリスクをとってもこの治療の継続を希望する患者さんが多いのは、それだけ日常生活に支障をきたしているということ。

手術:眼輪筋切除術、ミュラー筋の感度を下げる手術(ADM手術)。手術そのものの侵襲が問題。術後のボトックス注射が痛い…のも問題。

内服:抑肝散(漢方)

理学療法:温湿布や冷湿布、やさしく肌に触れて眼輪筋をゆっくりストレッチ

クラッチメガネ:まぶたを支えるパッドが付いているメガネフレーム。

環境を変える:睡眠をきちんととる。ストレスを受けにくい環境を作る。異動するなど。

(某施設で研究中:近赤外線を眼輪筋に照射。うまくいくといいですね。)

眼瞼けいれんは一生続くのか?予後について

難治性といわれます。その言葉に途方に暮れる患者さんも多いのが現状。「一生ボトックスを打ち続けなくてはいけないの?」そんな気持ちになりますよね。

しかし多くの人は環境の変化などにより、自然に軽快しているのではないか?と私としては希望的観測をもちます。

以下の本は、けいれん治療に長く携わる先生によるものです。この本を読むだけでも救われると思います。

『気になる「けいれん」を治す本』大澤美貴雄著、岩田誠監修 リヨン社 アマゾンリンク:https://amzn.to/3LD3PpH

なお、絶望感をすこしでも解消して欲しいと思い、動画をアップしました。

このモデルさんのように寛解(改善)することもあるのです。

「こうすれば絶対に治る」という特効薬はありませんが、希望にはなると思います。

対処方法として追記

医師としてでなく、著者個人として…

マインドフルネスや、ヨガのような心のストレス対処法は有用ではないか?と思いますがいかがでしょう?

上に述べたように、環境の変化で治る人が確かに存在するんですよね。

 追記2

以下は違う。眼瞼けいれんではないですよ。

眼瞼ミオキミア:まぶたがピクピクするもの。疲れた時に一時的に現れるけいれん。

片側顔面けいれん:左右どちらかの顔の筋肉がけいれんする。

追記3

ボトックスが効かない人がいます。

ボトックスに対する抗体があり(ボトックスに対する免疫ができてしまっている)、ボトックスの効果が速やかに中和されてしまう。

これは厄介です。

あるいは、錐体外路症状(意図しない動き:不随意運動が出やすい)のひとつとして、眼瞼けいれんが出ている人もいます。

飲み込みがうまくできないのも錐体外路疾患の一症状。ボトックスの副作用で”嚥下障害(飲み込みの障害)”が記載されています。その都合でボトックスの使用を禁じられている患者さんもいます。つらいですね。

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