慢性の皮膚炎でまぶたの肌がボロボロ。まぶたの中もボロボロ。
アトピー性皮膚炎で、子供の頃から目をゴシゴシこすっているそこのあなた。
肌もガサガサして、色素沈着しています。アトピー性皮膚炎でなぜ眼瞼下垂になるのか?ふたりの患者さんの写真を見ながら真実に迫っていきましょう。
アトピー性皮膚炎で眼瞼下垂症になるのか?
まぶたへの物理的な刺激が、眼瞼下垂症を悪化させることはご存知の通り。
まぶたをこする癖は要注意
まぶたの中の「腱膜(けんまく)」というスジが緩んでしまうのです。「腱膜」は元々「ゆるいゴム」。引き伸ばすことを繰り返すと、弾力性を失って伸びきってしまいます。
腱膜は「まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の力」を伝える大事な組織。これが破綻すると、眼瞼下垂になります。サスペンダーのゴムが劣化した状態をイメージしてもいいです。
そして、
眼瞼下垂症の悪化因子に「アトピー性皮膚炎」があるのです。それは「アトピー体質だから」ということではありません。
まぶたの皮膚炎で目が痒くなります。そして目をゴシゴシゴシゴシ…。その結果、眼瞼挙筋の連結が緩み、まぶたが下がりやすくなるのです。
それだけではありません。まぶたの皮膚と挙筋腱膜との連結も緩むので逆さまつ毛になってしまいます。
アトピー性皮膚炎だったらどうすればよいのか?
まぶたの医師である私から提案したいのは、「まぶたをこすらないこと」です。
そのために、アトピー性皮膚炎の治療をしましょう。
- 保湿
- 皮膚の炎症を抑える塗り薬:ステロイド外用剤など
- 抗アレルギー薬を内服する
- 重症な人は注射も
皮膚科で治療を行います。担当医と相談し、適切な治療を受けましょう。
参考:日本皮膚科学会、アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2018PDF
どうしても目が痒い時
まぶたを、濡らしたハンカチやガーゼでそっと覆います。痒みがやわらぎます。保冷材もいいかも。
どうしても目を掻きたい時
どこか一点、皮膚をぎゅっとつまんでまぎらわせます。どうしても痒い時は、1箇所だけ掻くのを許す場所を作るという発想です。
まぶたが下がってしまったら?
物理的に壊れてしまったものは自然に回復しません。手術です。緩んだ挙筋腱膜の連結を復元します。ふたえの谷間にするラインで皮膚切開し、挙筋腱膜を修復します。
いわゆる眼瞼下垂症手術。
手術の問題点は「ダウンタイム」と「併発症(合併症)」です。
皮膚炎のコントロールがよくない場合、目元を擦ってしまうので眼瞼下垂の再発リスクもあります。
手術の難しさ
慢性炎症のまぶたは
- 出血しやすい
- 麻酔が効きにくい
- 皮膚が硬く、思い描いたデザインの形になりにくい
などのハンデがあり、敬遠されがちです。実際に治療においても仕上がりがイメージどおりにならない確率が高く、しかも落ち着くのに月日がかかります。
想像してみてください。スウェット生地の手袋の加工はたやすいですよね。ところが一方、野球のグローブを加工した上でさらに動きの中でフィットさせるのは骨が折れる作業、ということがわかりますよね。
実際、医師に“断られた”、“難色を示された”という悲しい経験をした人もいるでしょう。
技術のある外科医に依頼します。ですが治療が成功することを約束されることはありません。まずは治療に必要な心構えなども含めてゆっくり相談しましょう。
【眼瞼下垂手術のリスク・合併症】 ⚠️ 短期:腫れ / 出血 / 感染 / 傷の離開 / 閉瞼不全 / 視力変化 / 左右差 ⚠️ 長期:眼脂・涙の増加 / 眩しさ / 赤み / 稗粒腫 / 糸の露出 / 違和感 / 瘢痕 / 低・過矯正 ⚠️ 仕上がり:眉毛下垂 / 顔貌の変化 / 再発 / 眼瞼けいれん
【手術費用の目安(両目)】 ・保険適用:1~5万円程度 ・自費診療:35~77万円程度
実際のモデル患者さん
モデルその1
まぶたの皮膚炎が見られます。アトピー性皮膚炎があり、皮膚科に通院していました。皮膚科担当医から「眼瞼下垂症」を指摘されました。
複数の二重ラインもどきがある、典型的な「腱膜性眼瞼下垂症」。眼瞼挙筋の動きが弱いのではなく、純粋に「連結の緩み現象」を起こしています。
眼瞼下垂症手術(挙筋前転法)で修復しました。

皮膚炎の状態は一進一退のようです。まぶたをこすらないようこれからも注意が必要です。
モデルその2
皮膚炎で皮膚が硬く変性しています。右のみ治療を行いました。新品の革の手袋が手の動きに合わせて柔軟に馴染むのに時間がかかるように、瞼の皮膚が動きに追従するのに時間がかかります。ダウンタイムが長期化する覚悟が必要です。
今後も皮膚炎のコントロールは必要。左も注意です。


さて、左の二重の不安定さが残りました。左右の二重の存在感を演出するように左右の調整手術を行いました。これで治療は終了です。


眼瞼下垂そのものは、外科的に治せる可能性があります。「その気になれば治せるのかも」そう思っていただけるだけでも救いになれると信じます。
まとめ
以上、
- アトピー性皮膚炎で眼瞼下垂になる
- 目をこすると眼瞼下垂に
- 実際のモデル症例
を提示しました。
- あなたのまぶたの皮膚に炎症を起こしていませんか?
- まぶたを擦る習慣がまぶたを壊すことが理解できましたか?
- 根本的には皮膚炎を治療することが大事だと分かりましたか?
※眼瞼下垂症啓発目的に写真を使用することに同意いただきました。ご協力ありがとうございます😊
尚、当記事は特定の手術をプロモートするものではありません。まぶたの生理学を追究するものであり、いち形成外科医が考察する雑記であります。皆さんと情報を共有し、まぶたの真理を追究することが目的です。手術自体はリスク(出血、傷が残る、左右差、違和感など)があり、慎重に検討されるべきです。
【眼瞼下垂手術のリスク・合併症】 ⚠️ 短期:腫れ / 出血 / 感染 / 傷の離開 / 閉瞼不全 / 視力変化 / 左右差 ⚠️ 長期:眼脂・涙の増加 / 眩しさ / 赤み / 稗粒腫 / 糸の露出 / 違和感 / 瘢痕 / 低・過矯正 ⚠️ 仕上がり:眉毛下垂 / 顔貌の変化 / 再発 / 眼瞼けいれん
【手術費用の目安(両目)】 ・保険適用:1~5万円程度 ・自費診療:35~77万円程度
あとがき
今年の夏は暑いですね。しか〜し、秋にマラソン大会の予定(金沢マラソンとさいたま国際マラソン🏃🏻♂️)を入れました😤42キロはしるためには、身体の準備に最低3ヶ月かかるのです。だから、夏もおやすみするわけにいかないのです。
でも熱中症も怖いですよね😢
- 無理をしない(きついと思ったら歩く)
- 走る時間帯を選ぶ(朝とか)
を心がけています。所詮アマチュア、身の程をわきまえてね。


