腱膜は眼瞼挙筋の先のスジ(腱)である
例えると、腓腹筋・ヒラメ筋にとってのアキレス腱です。
腱膜がまぶたのフチに繋がっていて、眼瞼挙筋が収縮するとまぶたが持ち上がります。
腱膜が壊れて眼瞼挙筋のチカラが伝わりにくくなる=腱膜性眼瞼下垂症
例えると、アキレス腱が切れてしまった状態です。
眼瞼挙筋の動力がまぶたのフチに伝わりにくくなると、まぶたが下がります。
重要なポイント:眼瞼挙筋を動かす神経や眼瞼挙筋そのものは健康である。
動力源はしっかりしているのにそのチカラを伝える機構にエラーが起きているのです。
例えば、
- チェーンが外れた自転車
です。どんなに頑張って漕いでも車輪は回りませんね。
腱膜が壊れる原因は?
- 加齢
- 機械的な刺激:目をこする、長期コンタクトレンズの着用
- まぶたの怪我
なぜ腱膜は壊れる(緩む)のか?
腱膜はまぶたのフチにしっかり繋がっていません。ゆるーく繋がっています。まぶたの手術をしている外科医なら分かりますが、なんともまあ「ふんわりとした頼りない構造」をしているのです。
おまけに、伸びたり縮んだり、弾力性のある構造。長年使用しているとだんだん伸びてきてしまうのです。
例えば、
- パンツのゴム
ですね。
劣化した腱膜は治せるのか?
質問です。伸びたパンツのゴムの弾力性は元どおりにできますでしょうか?
そうです。
残念ながら腱膜を元どおりの弾力性を回復させる手段はありません。
腱膜の劣化を予防する方法はあるのか?
愛護的に扱うことです。
- むやみに引っ張らない
- むやみにこすらない
- コンタクトレンズをやめる(無理な人もいますが)
- むやみに顔を太らせない
- まぶたをむくませない
- 歳をとらない(無理ですね)
眼瞼下垂になってしまったら?
眼瞼下垂を治したい!という熱意があれば、挙筋腱膜の修復を手術で行います。眼科か形成外科を受診しましょう。
実際の眼瞼下垂患者さんの治療前後をご覧ください
長い年月に渡り、コンタクトレンズを使用していました。コンタクトレンズはリスクファクターですよね。
眼瞼挙筋の動きは全く正常でした。ペラペラになった挙筋腱膜が観察されました。
挙筋腱膜の繋がりを修復しました。皮膚のたるみ取りなどはしておりません。「三白眼」が治っていますね。これは副次的な効果です。(三白眼の関連記事)
自転車のチェーンが外れていただけなのです!眼瞼挙筋は裏側で一生懸命に仕事をしようとしていたのです。空回りしていたのですね。かわいそうでしょう?。。。でも、これでまた眼瞼挙筋が仕事できるようになりました。
腱膜性眼瞼下垂症の関連記事「見えないところに真実あり。まぶたの中身が垂れるのが本当の眼瞼下垂」、「本当の眼瞼下垂はやっぱり中身のたるみが原因 その2」
- 年齢:50代
- 性:女性
- 手術:挙筋腱膜修復術
- 皮膚切除:なし
- 脂肪切除:なし 隔膜とPSFは発達弱い
- lateral horn リリース:half/half
- 下位横走靭帯:なし
- 挙筋腱膜の滑り:右:0 1 2(3) 4 左:0 1 2(3)4
- 挙筋前転:右:なし 左:なし
- ミュラー筋処理:左右ともなし
- 手術時間:40分
腱膜性眼瞼下垂でお悩みのかたのために、写真を使用することを承諾いただけました。心より感謝申し上げます。(埼玉県の患者さん)