眼瞼下垂症手術を検討しているあなた。
眼瞼下垂症術後の患者さんが身近にいないと、術後どんな雰囲気になるか心配になるでしょう。
「瞼の動きが不自然になるのでは?」
「整形顔になってしまう?」
「まぶたが閉じれなくなるのでは?」
いろいろ調べる中で、
「ホームページなどで示される術後写真は真実を示しているのか?」
という疑問があります。
眼瞼下垂症手術を受けたヒトをリアルで見たことがない場合は、「写真」は大いに参考になるでしょう。旅行に出かけるときは訪問地の下調べで写真を見ますものね。(なお、術前はすっぴんなのに術後はバッチリメークと言うのは論外ですね)
しかし、結論から言うと、静止画は情報量としては全くの不足です。
マブタはダイナミックな器官です。目の開く量は刻一刻と変わっています。学術的に「瞳孔からの距離を何ミリ」と表現しても測定条件によってバラつきます。
自分で鏡を見ると右目が大きく見えるのに、ヒトに相対すると逆に左目が大きくなる、などのオカシナ現象も起きます。意識をして目を開けるときと自然にものを見るときとでも違います。近くを見る時と遠くを見る時も違います。
写真撮影では、「フラッシュを炊くとき」と「自然光」でも違います。
そういう意味では「写真記録というのは様々な条件の中でホンの一瞬を切り取ったものにすぎない」のです。
一枚の写真はすべてを表現しているわけではないのですね。
(※特に先天性眼瞼下垂症に対する筋膜移植術は写真と実際の動きにはギャップが有ります。)
実際のモデル患者さんを見てみます
まずは写真。つまり静止画。

そして、動画です。
ある一定の明るさの部屋。「正面視、目を閉じる、下方視、上方視、強く目をつぶる、強く目を開ける、目を閉じてまゆを持ち上げる」動作をしています。
合間にかいま見える正面視いずれもが、その患者さんにとっての「まぶたの開く量」と言えます。自然な瞬きも大事な要素です。
眼瞼下垂症啓発目的に写真動画を使用することを承諾頂きました。ありがとうございました。
尚、当記事は特定の手術をプロモートするものではありません。まぶたの生理学を追究するものであり、いち形成外科医が考察する雑記であります。皆さんと情報を共有し、まぶたの真理を追究することが目的です。手術自体はリスク(出血、傷が残る、左右差、違和感など)があり、慎重に検討されるべきです。
(2017年10月16日、加筆修正)
追伸
特に先天性(生まれつきの)眼瞼下垂症に対する筋膜移植術は写真と実際の動きにはギャップがあります。筋膜移植術を検討し、写真を参考にする場合は
- 正面視
- 目を閉じたところ
- 下を見たところ
もあらかじめ確認できるとより良いでしょう。
関連記事:「眼瞼下垂症治療における筋膜移植術の克服すべき課題」
(2015年9月15日 加筆修正)
(2019年9月18日 加筆修正)