眼瞼下垂の随伴症状(ずいはんしょうじょう)とは。肩こり・頭痛・不眠・まぶしさ…

「肩凝りが〜」「頭痛が〜」「目が疲れる〜」

これらは眼瞼下垂に伴う随伴症状(ずいはんしょうじょう)です。

随伴症状とは一体なんでしょう。

何らかの病気や病状などの伴う症状のことを幅広く指す用語。「高血圧の随伴症状」「月経随伴症状」などという具合に使われる。(weblios辞書より)

例えば「高血圧の随伴症状」は、頭痛、めまいなど。「月経随伴症状」は乳房が張る、イライラ、倦怠感などです。

病気があり、それに伴って付いてくる症状です。場合によっては、随伴症状の方が本人を悩ませる原因になります。

眼瞼下垂の随伴症状

眼瞼下垂はまぶたが垂れ下がる病気。したがってその結果引き起こされる症状は「視野が狭くなる」ですね。でもそれだけではないのです。

以上のような随伴症状を伴うのです。

そして、

眼瞼下垂の治療を考えるきっかけになるのです。

「頭痛の検査をしても原因が分からない」「慢性的に肩こりがひどい」といった症状を解決したいとの思いが契機となり、「眼瞼下垂」というキーワードにたどりつく人も多くいます。

病院を受診しても、不定愁訴(ふていしゅうそ)として軽く流されてしまいがちな症状です。しかし、形成外科医たちはそれらに着目しました。なぜかというと、眼瞼下垂の治療後に改善する人が続々と現れたからです。

※不定愁訴:明白な器質的疾患がみられないのに、さまざまな自覚症状を訴える状態(広辞苑より)

なぜ随伴症状(肩こり、頭痛、不眠など)が起こるのか?

無意識に機能している、生理学的なメカニズムがあります。

眼瞼下垂になると、眉を上げて目を開けようとします(無意識です)。バックアップシステムが動員されているわけですね。

この時、おでこの筋肉(前頭筋)だけでなく、うなじの筋肉(後頭筋)や肩の筋肉(僧帽筋)も連動して収縮します。日中、ズ〜っと筋肉が緊張しているわけです。そのために肩こり・筋緊張性頭痛がおきます。まぶたが下がってくると眉間に力を入れたり(皺鼻筋)、歯を噛み締める(側頭筋)人もいます。これらも頭痛の原因になります。

さらに、もうひとつのバックアップシステムが動員されます。上まぶたのミュラー筋です。ミュラー筋は交感神経支配です。ミュラー筋を収縮させるために、常に交感神経を興奮させている状態になります。このことが交感神経刺激症状(不安障害、めまい、睡眠障害)を引き起こすと考えられています。

詳細は以下の記事を参照してください。

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まぶたの生理学

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あなたの随伴症状は眼瞼下垂の治療で治るのか?

随伴症状は眼瞼下垂だけが原因ではありません。冒頭に挙げたような疾患もありますし、普段の生活習慣が原因のこともあります。眼瞼下垂を修復できたとしても、必ず治るとは限りません。その点は注意が必要です。

他にはどんな随伴症状が?

学会発表や講演会などからの情報です。

手の震え、滑舌の悪さ、歩行障害、過活動膀胱、物忘れ、巧緻性(手の動き)、高血圧…

これらは私自身も患者さんからの報告(眼瞼下垂治療後に改善したよ!)で体験します(外来診療でこれらの項目はわざわざ問診しませんので)。私も驚きますが、何よりも患者さん自身が驚いているのですよね。その様子に私自身もワクワクします。

参考文献

◎宇津木龍一ら, 腱膜性眼瞼下垂手術後の頭痛・肩こりの改善効果について,神経眼科 26(1): 45-49, 2009.

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