まぶた治療に特化した形成外科専門医が作った眼瞼下垂情報

顔面神経麻痺後のまぶたのこわばり(拘縮)に対する手術治療

末梢性顔面神経麻痺後の瞼裂縦径狭小に対する眼瞼形成手術ー12症例の検討ー雑誌形成外科 vol.57 (5) 2014 金沢雄一郎

ハント症候群やベル麻痺による末梢性顔面神経麻痺の回復が遅れることがあります。神経の迷入再生がおこり、患側の表情筋の過緊張と病的共同運動が生じます。特に罹患側の眼輪筋の緊張亢進により目の開きの縦幅が狭くなり、健側(病気でない方)の過剰な眉毛挙上がおこり、顔面の表情の著しい非対称をもたらします。この病態に対する治療について検討を行いました。

しかも、成人では腱膜性眼瞼下垂が多少なりとも進行しています。その結果、瞼裂の狭小化(目が小さくなること)に拍車がかかり、さらに健側の眉毛挙上を促すのでより一層顔面の非対称が強くなります。いわゆる「ひょっとこ顔」と表現されます。

顔面神経麻痺後遺症で目が小さくなった病態に対する手術治療

神経生理学的には、眼輪筋の過緊張と腱膜性眼瞼下垂によりミュラー筋への負担が大きくなっています。

ミュラー筋の伸展受容器が刺激され、患側の表情筋の緊張がより高まり、さらに対側の眉毛挙上を促し(同側の前頭筋の麻痺が残っていることが多く、同側の眉毛は下垂したまま)ます。

ミュラー筋への負担が増悪因子です。この発想に基づき、眼瞼下垂症手術(腱膜固定)を行ってミュラー筋が引き伸ばされるのを防ぎます。さらに拘縮を起こした眼輪筋を離断、切除して開瞼抵抗をゆるめます。

結果として表情の対称性が改善し、さらに上方視などでの視野の改善が著名に得られました。

以上が内容です。

一方、

最近ではミュラー筋負荷を減らす目的でミュラー筋を瞼板から外すこと(ADM)も行われるようになってきました。その後の経過も注目です。

実際の顔面神経麻痺後遺症のモデル患者さん

眼輪筋のこわばり(拘縮)、前頭筋麻痺による顔面非対称があります。なによりも左の視野が狭いですね。

顔面神経麻痺後遺症。治療前後の写真。
顔面神経麻痺後遺症術後(下)。しっかり視野が確保された。

ミュラー筋リリースを行って腱膜固定を行いました。視野が著しく改善しました。患者さんはその点でとても喜んでおられます。

右の過剰な眉毛挙上グセがなくなり、非対称が改善したのがよく分かりますね。この患者さんは眼輪筋の切除を行いませんでしたが、もう少し筋肉を減量しても良かったかもしれません。

病的な異常共同運動の改善はこの術式では乏しいです(以前のブログ)。これは、今後の課題です。

顔面神経麻痺後遺症治療啓発目的に写真使用することを承諾頂きました。ありがとうございます。(埼玉県の患者様)

 

関連記事:『顔面神経麻痺回復後の顔面拘縮(こわばり)で目が小さくなることに対する治療はあるのか?』

 

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