こんにちは、形成外科専門医の金沢です。
グッと見開いた目力(目ヂカラ)の強さ。それは眼瞼挙筋が動員されている時です。つまり、眼瞼下垂を予防して目力アップをしたかったら眼瞼挙筋にしっかり働いてもらわなければなりません。眼瞼挙筋スイッチを入れる必要があります。自力で克服する方法です。
関連記事:『眼瞼挙筋とは』
挙筋スイッチを入れる方法
「眼瞼下垂は、挙筋がうまく使えていない状態である」というのが前提にあります。関連記事:『眼瞼下垂とは?若い頃のまぶたを回復、維持する方法とは?』
結論から言うと、
①おでこのチカラを抜いて、眉を下げる
②顎を引いて上目遣いをする
これで、パチっと挙筋スイッチが入ります。スイッチというか「引き金」「トリガー」という表現でもいいかも。
前頭筋(おでこの横じわを作り、眉を持ち上げる)も眼瞼挙筋もまぶたを持ち上げる筋肉です。
この働きは共同的(もしくは協同的)と言います。
一方、前頭筋と眼瞼挙筋はシーソーのような関係でもあります。
(1)眠くなってくると挙筋が緩んできます。すると、おでこに力が入ってきます。
(2)おでこに力を入れて眉を持ち上げ、1分間そのままにしてみてください。挙筋が緩んできます。
(3)逆に目力を強くしようとすると眉が下がります。
普段はどちらかがメイン(優位)に働いています。これを理解する必要があります。
挙筋スイッチを入れるトレーニング(挙筋トレーニング)です。鏡を前に置いてください。
(1)まず、おでこの力を抜きましょう。難しい場合は指で眉が上がらないように押さえるのも手です。
(2)顎を引いて上目遣い。眼球を上転(上を見る)させるとミュラー筋が刺激され、挙筋スイッチが入ります。
これで完璧。
以上は、まだまぶたが下がっていない状態(眼瞼下垂でない)のヒトを想定した話です。
眼瞼下垂の人はどう?
眼瞼下垂になると挙筋腱膜が緩んで挙筋機能が弱まります。すると、前頭筋に力が入って眉が上がります。
(狭くなり視野を補うためにに前頭筋に力が入るのです。)すると、挙筋スイッチが入りにくくなります。その結果、残念ながらトレーニングも難しくなります…😓
モニター患者さんをみてみましょう。
左のまぶたの下垂(前葉下垂)があります。左のみの眼瞼下垂手術を行いました。
結果、おでこ(前頭筋)のチカラが抜けました。左も右も。
そして…眉が下がったのがわかりますか?(特に外側、目尻側)
そして…、
右にも「挙筋スイッチ」が入り、挙筋の機能が復活しました!
- 年齢:60代
- 性:女性
- 手術:挙筋腱膜修復術
- 皮膚切除:あり
- 脂肪切除:隔膜と隔膜前脂肪(PSF)は発達弱い
- lateral horn リリース:左:half
- 下位横走靭帯:左:細く斜めに走る
- 挙筋腱膜の滑り:左:0 1 2(3)4
- 挙筋前転:左:微量
- ミュラー筋処理:なし
- 手術時間:18分
まぶたのたるみでお悩みのかたのために、写真を使用することを承諾いただけました。心より感謝申し上げます。
なお、本記事は特定の手術手技を啓発することが目的ではありません。手術自体はリスク(傷が残る、出血、違和感、左右差など)があります。慎重にご検討ください。
追伸
まぶたのたるみの治療後に重瞼(ふたえ)が浅くなりやすい人がいます。前頭筋に力が残り、挙筋の動きが乏しい場合です。挙筋スイッチを入れる練習をしましょう。
関連記事:「予定外重瞼線って?ふたえの線の他に余計なラインがもうひとつ」
このトレーニングを普段からしている美容外科医もいます。わたしも時々やってます。
あなたもやってみませんか?🤔