右目尻に「白いスジ」ができていますよ。
何が起きているのでしょう?ヒントは患者さんのコメント。

目尻に涙がたまり、その涙が目尻に流れて蒸発し、白いスジを作っていたのです。
診断は「下眼瞼内反症」(かがんけんないはんしょう)
逆さまつげが目の表面を刺激し、ゴロゴロします。その異物感に対して、カラダは涙を多く分泌して目を守ろうとします。
放置すると目の表面を傷つけます。傷ついた角膜(黒目の表面)を観察した眼科医が「手術が必要です」と判を押します。
目玉を守るはずのマブタが反乱しているのです。このヤロ〜😤ですね!
と逃げ回っていた患者さんもついには観念します。

局所麻酔で両目で40分。抜糸は1週間後。ダウンタイム(腫れや青あざが目立つ期間)も相応にあります。
でもその結果(半年後)、

無事に経過している様子。
コレで終わりなのか?
しかし、ここで油断はできないのです。ここで私金沢の不安がまだあるのです。
「下まぶたの内反」は基本的には加齢による現象。頭蓋骨の萎縮による眼窩(目玉の入るソケット構造)容積の拡大、目周りの解剖の萎縮も相まって、眼球が落ちくぼみます。
その結果、下まぶたの縦方向、上下方向、さらに前後方向の余り現象(3次元ですね)が起きるのです。さらに眼輪筋の緊張バランスの崩れや、下眼瞼を奥へ引っ張るスジの過緊張や緩み、などなども重なり、内反が強まるのです。
残念ながら手術ではコレらの要素全てを修復できるわけではありません。そして、矯正が強すぎると外反(あっかんべー)することもあるのです。そのため、矯正の度合いも加減する必要があります。
その結果、再発することがあるのです。
関連記事:『加齢性の逆さまつげ、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)とは?その治療法は?』
今もなお、形成外科医師の間で議論になります🤔「このスジの連結は外した方が良いのでは?」「ここはしっかり連結を作った方が。。」とかね。
この患者さんも「今」はいいのです。でもコレからはまだ分かりません。

まだまだ完成には至りませんが、かつてに比べれば手術術式は洗練されてきていると実感します。
まず、角膜(目の表面)に傷のある患者さんは治療が必要です。眼科でしっかり見てもらってくださいね。