眼瞼下垂のダウンタイムを最短に!早期社会復帰の秘策【上級者向け】

ダウンタイムを最短に

眼瞼下垂手術がんけんかすいしゅじゅつをすると、まぶたが風船のようにプックリ腫れます。内出血の色がつくことも。

いつになれば社会に戻れるのだろうか?と気を揉むことでしょう。

見た目が痛々しいこの期間を、一体どのようにしのげばよいのか?短時間で落ち着いてくれれば、社会復帰も早まるはず。腫れと内出血の経過と、その対処法(すべきコト、すべきでないコト、裏技)を、長年の経験と調査した内容に基づいて形成外科専門医の金沢がお伝えします。

ひどい内出血を起こした人は一体何をしでかしたのか?および経過写真なども記事後半で提示します。

目次

まぶた術後に一刻も早く社会復帰するために

ダウンタイムとは?

もともとは、「downtime: 機械が運転していない休止時間、従業員が働いていない期間」と定義されます。

なるほど、工場などの運転が止まっている状態が続いている期間ですね。一方、形成外科業界で「ダウンタイム」というと、「手術を受けてから社会復帰までの期間」を意味します。

「眼瞼下垂手術後のダウンタイム」の原因

腫れ、むくみ

眼瞼下垂症の手術をすると、まぶたが強くぷっくり腫れます。炎症により、血管内の水分が漏れだして局所の間質かんしつに水分がたまるため。水を吸ってスポンジが膨れ上がるイメージ。

紫斑しはん(青タン、青あざ、内出血斑)

紫斑
内出血斑は目立つ。最小限におさめたい

手術の後に、内出血の青い色が現れます。やがてに黄色に変化して吸収され、淡く消えていきます。打ち身の青たん、採血や注射の時にできた”青あざ”をイメージしてください。

こうして、はじめの1週間は人と顔をあわせるためらわれるくらいの顔に。まるでボクシングの試合を終えた直後の選手のよう。そのため、人と頻繁に会う仕事をしている人は、仕事を1週間休養をとります。この1週間が「眼瞼下垂治療のダウンタイム」となります。

腫れの経過は?

手術後2,3日で腫れはピークをむかえます。その後1週間後に半分ほどひき、さらにもう1週間で、さらにそのまた半分腫れがひきます。(つまり2週間で7〜8割腫れがひくイメージ)

その後はゆっくりと、少しずつ少しずつ腫れがひいていき、3ヶ月から6ヶ月程度(長い人は1年程度)で、季節を越えて最終形に落ち着きます。(厳密には初期の腫れは炎症に伴う腫脹ですが、2週間経過した後の腫れはむくみのようなものになります。)

紫斑の経過は?

内出血斑(紫斑)は2週間程度で紫色から黄色になり、さらに2週間程度かけて吸収されます。時間が”くすり”となる「日にちぐすり」です。

関連記事:『眼瞼下垂手術後の出血斑(青あざ)は何日できれいになる?』(内部リンク)

わたしの眼瞼下垂手術のダウンタイムは何日間ですか?

「社会復帰するまでの期間」ですから、あなたの生活環境によります。人それぞれ。

  • 営業などのお仕事:少なくとも1週間は支障あり。
  • 顔のモデル:1ヶ月は無理。濃いメークをすれば2週間くらいから大丈夫かな。
  • 屋内でのデスクワーク:翌日からでもOK。
  • スーパーへの買い物:サングラスを着用すれば翌日からOK。
  • 車の運転:1週間程度は控えたほうがいいかも。事故に巻き込まれた時に不当な過失割合があてられる可能性も?
  • 運動:1週間は控えるべき。

かりに同じ腫れ方だったとしても、職業や生活スタイルによってダウンタイムが短くも長くもなることがわかりますね。

イベントを控えている人は注意!

  • 自分や親族の結婚式を控えている
  • 旅行やイベントで写真を撮られる機会を予定している

これらの場合は、イベントが終わってからか、もしくは1ヶ月程度は余裕を持って手術のスケジュールを組んでください。

腫れや内出血の強さには個人差がある

腫れの度合い、内出血の目立ちやすさも個人差が大きく反映されますです。この個人差もダウンタイムに影響します。

腫れが長引きやすい要素・要因は、

  • 男性
  • 高齢
  • 眼輪筋がんりんきんの緊張が強い
  • まぶたが腫れぼったい(脂肪が多く、筋肉が厚い)
  • もともと浮腫んでいる
  • 侵襲しんしゅうの大きい手術(脂肪切除、眼輪筋切除、皮膚切除の量が大きいなど)
  • 手術時間が長時間(術者の技量も影響)

あなたにあてはまる項目はいくつありますか?

内出血の程度に関しては、患者さん要因と医療側要因がある

患者さん要因としては
  • 出血傾向
  • 組織が硬い
  • 高齢
  • 過去の手術の経験
  • 抗血小板薬こうけっしょうばんやくの内服(バイアスピリンなど)
  • 抗凝固療法こうぎょうこりょうほう中(ワーファリンなど)
  • 高血圧
  • 月経
  • 安静にできない

以上です。あなたはいかがでしょう?

医療提供側要因としては
  • 手術者の技術
  • 手術の器械の性能、器械の選択

です。

しかし不確定要素も多く、ベストを尽くしても内出血の色が出ることはあります。

私は抗血小板・抗凝固療法を中断せずにまぶた手術を行なっています。中断することのリスク(脳梗塞など)を天秤にかけると、休薬せずに行う方がメリットが大きいと判断しています。この判断は医師によります。

ダウンタイムを短くするための工夫

まずは大事な3点。

  • 頭に血が上る(顔がほてる)行為を控える
  • 患部をクーリング(冷却)する
  • まぶたへの物理的な刺激を避ける

以上を徹底します。

(1)温まる行為を極力控える

  • 熱い湯に浸かる
  • サウナに入る
  • 激しい運動をする
  • 飲酒する

これはすべきでない事です。つまり、顔がほてる様な行為を控えるべき。想像すればわかりますよね。

上半身を起こした状態のほうが、頭に血が昇りません。日中はゴロゴロ横になっているよりも、上半身を起こして活動することをおすすめします。筋トレなどでいきむ行為は顔の血圧を上げるので避けましょう。激しい咳き込みも顔の血圧を上げます。左を下にして横向きに寝るのが好きな人は左まぶたが腫れやすいようです。

スーパーに買い物に出かけたり、職場でデスクワークするのは大丈夫。

「飲酒って顔が暖まるのだろうか?」そんな疑問が湧きました。空港の検疫を思い出しました。発熱している人を顔のサーモグラフィーで検出するというもの。感染症で発熱し、顔がほてっている人を捕まえたいのですが、結局のところ飲酒している人をひっかけるばかりだったという話…

(2)冷却は有効

クーリングも有効。濡らしたハンカチやガーゼで冷やしてもよいでしょう。保冷剤を利用することもあります。

※:スポーツ医学における外傷時の応急手当:RICE処置ってご存知ですか?

  • R:Rest:安静
  • I:Icing:冷却
  • C: Compression:圧迫
  • E:Elevation:挙上

炎症に対する処置としては考え方は同じです。

冷却期間は3日間から7日間(諸説あります)です。しかし、冷却は有効でないとの報告も(下記)。

(3)局所は安静に

あなたがまぶたを擦る癖をもっていたら…

  • 縫合して連結させた組織同士の癒着ゆちゃく(結合)が外れてしまいます。縫合したキズが開く危険性もあります。
  • こする刺激で炎症も長引きます。

のり付けした工作の「のり」が乾く前に触らないように、というイメージ。

洗顔で軽く触る程度は支障ないですが、かゆみでまぶたをこすりたい衝動にかられたら…

  • メガネをかける
  • 冷やす
  • 抗アレルギーの点眼薬をさす

などで対処しましょう。日常生活でまばたきする程度は問題ありません。花粉症の症状をコントロールできない人は、花粉症の時期は手術は避けてもいいかもしれません。

(4)睡眠を十分にとる

創傷治癒は睡眠中に進みます。成長ホルモンも増え、組織の修復が早まります。とどのつまり、睡眠が最も有効だと個人的には思います。

以下のアプローチは効果は明らかではないが、復帰を早くする可能性が

(1)のみ薬での対処

術後1週間程度で十分かも。

治打撲一方:ヂダボクイッポウ: ツムラ89番 効能:打撲による腫れ。痛み

内出血をひかせる作用のある「川骨(せんこつ)」や便の排出を促す「大黄(だいおう)」など7種類の生薬を含む。血の巡りをよくすることで内出血をひかせる働きを持つ。

桂枝茯苓丸:ケイシブクリョウガン ツムラ25番 効能:血流の改善

血流をよくする。

柴苓湯:サイレイトウ ツムラ114番 効能:むくみをとる

余分な水分を排出する。

これらは、まぶた手術を受けた”医師”が実際に服用し、「よかった」との情報にもとづきます。使用にあたっては必ず医師と相談してください。わたしは個人的には処方していません。

「短期的にステロイドを内服したと」の情報も。薬理学的には腫れの程度をおさえることは可能と思われます。副作用として「治癒が遅れる」「感染に弱くなる」「血糖値が上がる」などが予想されます(短期的には心配ないとの声も)。私個人は処方していません。今後の研究を待ちたいです。

(2) 塗り薬(外用薬)

ワセリンを創部に塗ると、かゆみなどの違和感が落ち着きます。抜糸が終わっても勝手に塗り続ける患者さんが意外に多いことから判明しました。術後2週間程度は効果がありそうです。

(3) 生活習慣での対処

糖質を控える:糖質を摂取すると喉が渇き、水分を余分に摂取することになります。結果として、むくみやすくなります。

(4) マッサージ

いわゆるリンパマッサージ。目周りのリンパ液は耳の前に集まり、首へおり、そして胸に注ぎこみます。その流れを助けてあげると顔のむくみが改善します。耳の前から首にかけてやさしくさするよう(そっとタッチするくらいの優しい刺激)にマッサージしましょう。術後3ヶ月程度は有効かも。まぶたそのものへのマッサージは避けてくださいませ。

(5) 圧迫

やさしく圧迫することは、腫れやむくみを改善します。術後3日間程度は有効です。圧迫の圧力が強すぎると目玉をそのものを圧迫するので加減が大事。自己判断で行うのはおそらく難しいでしょう。

関連記事:『術後のまぶたの腫れは合目的的かもしれない』(内部リンク)

(6) 目を使う

安静にしろと言ったじゃないか。そんな声が聞こえました。すみません。

外からの刺激は控えるべきです。けれども、手術後1週間を経過したならば、積極的に動かすことでリンパの流れが促されます。「安静にしないと」という観念にとらわれている人は、むくみが長引くことが多いようです。

事前(まぶた手術前)にできることはないか?

社会復帰を早めるためには、傷の回復を早めること。そのためのコンディション作りは有効です。

(1) 創傷治癒能力を高める

生活リズムを規則正しくすることは、傷を治す成長ホルモンの分泌を促します。また皮膚のコンディションにも好影響を及ぼします。やっぱり睡眠。

(2) 皮膚のコンディションを改善する

  • ニキビ治療
  • 皮膚炎の治療(アイテープをしているヒトは1週間は休ませること)
  • 日焼けをしない:日焼けをすると短期的にも皮膚の弾力性、柔軟性が失われます。
  • 乾燥のケア:保湿をしっかり
  • タバコを控える:血のめぐりを改善し、皮膚のキメと弾力性、柔軟性を少しでも回復させます。

結局は見かけの問題

どんなに腫れてて、内出血が酷くても、本人は痛くもかゆくもありません。周りを気にしなければ翌日から活動してもいいっちゃいい。

カモフラージュする手段を持つのも選択肢

  • メガネ
  • サングラス
  • 上手にメーク
  • つばの大きな帽子
  • 目立つイヤリング(注意を逸らす)

最近のトレンドとしては厚めのフレームのメガネです。サングラスは逆に目立ってしまう(日本では)かも。

注意!術後内出血でまぶたに大きな青あざを作った患者さんが3人

○術後4日後に入浴して内出血しました。まぶたに「プチッ」とした衝撃を感じ、その後ぷくーっと腫れてきたそうです。

○術後4日で、強く咳き込んだときに内出血を起こしました。いわゆる「お岩さん」になりました。

○手術当日帰宅して出血し、「お岩さんに」なりました。  ※プライバシー保護の観点から「まぶた講座」でのみ写真閲覧可能です。

細心の注意を払ってもこのようなトラブルを起こすことはあります。3人ともその後のケアで綺麗に落ち着いています。

以下の記事に体験談リンク集を記載しました。

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「術後間もない時期のダウンタイム中の経過」を勇気を持って報告してくれる方々です。色々な経過があることがわかる貴重な情報。クリニックの宣伝になるものや写真のメークが濃いものは誤解を生む可能性があるので省いてあります。個人による個人のためのwebsiteを選びました。

追記1

「冷却は有効ではなかった」との報告があります。

「まぶた手術後の冷却行為の『痛み、むくみ、あかみ、内出血』への影響について」結果:当日の痛みは軽減したが、他は効果なしだった。

Pool, S. M., van Exsel, D. C., Melenhorst, W. B., Cromheecke, M., & van der Lei, B. (2015). The effect of eyelid cooling on pain, edema, erythema, and hematoma after upper blepharoplasty: a randomized, controlled, observer-blinded evaluation study. Plastic and reconstructive surgery135(2), 277e-281e.

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追記2

「シンエック」という内服薬が美容クリニック界隈で紹介されています。これはホメオパシーに基づく治療。元の成分はほとんど入っていないというおまじないのようなものです。

関連記事:『まぶた手術後の腫れの期間を短縮する「シンエック」って?』(内部リンク)

まとめ

以上、

  • 眼瞼下垂手術後のダウンタイムとは
  • ダウンタイムの長さ
  • ダウンタイムを短くする方法
  • 手術前の準備
  • カモフラージュ方法

を提示しました。

  • 眼瞼下垂手術後は、すべての人が痛々しいお顔になるって知っていましたか?
  • ダウンタイムを長引かせないために、してはいけない事が理解できましたか?
  • カモフラージュも手段として、有効に利用できそうですか?

いずれにせよ、ある程度のダウンタイムは避けられません。そのプロセスをゆっくりじっくり味わうくらいの気持ちで臨むか、目を見ないで過ごす余裕を持ちましょう。”A watched pot never boils.(見つめてたらお湯が沸かない)”というイギリスの諺。見つめるほど腫れはひきません。抜糸が終わったら、目の手術をしたことを忘れるくらいのマインドを持つことが、実は最も早い回復の道につながるかもしれません。

追記

眼瞼下垂の手術後5日目にマラソンレース10キロ走った猛者がいました。1週間後の抜糸のときは、傷の癒合が弱くて心配したのを覚えています。

これは特別なケース。オススメしません。(注意:その患者さんは医療関係者です。)

実際の経過写真…

さて、実際の腫れと内出血の経過写真は次のページに。生々しいので興味のある方のみ次へ進んでください。

眼瞼下垂術後の腫れの経過

管理人金沢のまぶた術後の経過

眼瞼下垂術後一日
翌日
眼瞼下垂術後1週間
7日後
眼瞼下垂術後3週間
術後3週間

元記事はこちら↓

note『医師自らが眼瞼下垂手術を受けた話』(外部リンク)

あとがき

もし医院が「腫れない」といったら虚偽の説明となります。どうか惑わされないようにお願いします。

腫れは絶対にさけることができません。むしろ、その腫れを体験として味わうくらいの寛容さを身につけるほうが、精神衛生上好ましいです。

注目してほしいのはまぶたの腫れだけではありません。頬も腫れてむくむのです(ほとんどの人は気づいていません)。頬の肌がピチピチになったと喜んでいたら結局もとに戻ったという話。

ほかにもどんな変化があるか注目してみてください。

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