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お忙しい中、失礼します。いつもブログ拝見しております。
瞼のことで教えていただきたいことがあります。
挙筋腱膜前転法で強直性眼瞼痙攣になる人はいるようですが、二重切開で強直性眼瞼痙攣になることはあるのでしょうか? 良かったら、よろしくお願い致します。
男性
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強直性眼瞼けいれんとは?
眼輪筋(と眉毛下制筋たち)の緊張が強くなり、目を開けるのがしんどくなります。眉間にシワが寄り、細目になります。
- 眩しい
- ドライアイ
という症状から始まります。
「けいれん」というと、「ピクピク」するのを連想しますよね。これは「眼瞼ミオキミア」といい、「眼瞼痙攣」とは違います。
ギューっと筋肉が緊張するのです。
- 肩が凝る
- 緊張が続いて手足の筋肉がこわばる
のと同じです。
眼瞼けいれんの治療など
詳細は以下のページに

二重切開は眼瞼けいれんの原因になるのか?
私の回答は以下でした。
メール相談ありがとうございます。二重の切開でも強直性眼瞼痙攣になる可能性はあります。メカニズムはまだ不明ですが、まぶたの手術や怪我などあらゆる侵襲ストレスは直後からもしくは 長年経過してから眼瞼痙攣を発症しうると思われます。
「眼瞼下垂の手術」や、「二重埋没法」の後に「眼瞼けいれん」を発症している患者さんはいます。
一方、そのような手術を受けていない人でも「眼瞼けいれん」にはなります。
文字通り、切開二重手術でもあります。
そのような手術の経験のない人でも、まぶたや眉のあたりの怪我を過去に経験している人はそちら側の眼輪筋の緊張が高まってくる傾向があります。(※個人の感想ですが、これに同意する医師もいます)
よくまぶたを観察すると、傷痕(瘢痕)があるんですよね。でも本人も記憶がないくらい過去のものだったりします。
手足の怪我や故障を経験したことはありますか?
スポーツ(格闘技も含めて)をしている人は分かると思います。怪我をすると、完全に治癒したと思っても、筋肉の緊張に左右差がどうしても残るのです。一般的に怪我サイドは緊張が強くなると理解していいでしょう。
眼輪筋(まぶたを閉じる筋肉)の緊張が強くなると、ミュラー筋の負担が高まり、眼瞼けいれんの引き金になりうると思われます。
まぶたに傷あとのあるモニターさん

右まぶたが重いという患者さん
「右まぶたが重くて下がるんです😥」
という患者さん(30代、男性)。

形成外科医は見逃しません。ちゃんと見てます。なぜならキズがまぶたの重さの引き金になるからです。
キズ痕がどこにあるか?分かりますか?

どこにキズ痕があるか分かりますか?
2箇所にキズ痕(瘢痕)が認められます。
「記憶にありませんね。子供の頃かなあ🤔」とのこと。よくある話ですね。
よく分からなかった人へ正解をお見せします。

赤線で囲ったところがきずあとです。
まだ、分かりにくい人へは必殺モノクロです。

眉の傷は白く抜けています。
対して、まぶたのふちの傷は色素が濃いです。
実際に行われた治療は?
傷自体がまぶたに与えた影響については不明です。しかし、右まぶたの構造が左と違っていることは分かります。
眼瞼挙筋の連結が右のほうが弱いです。キズの存在が眼輪筋の緊張を強め、眼瞼下垂を進行させたというシナリオもありえます。
右の挙筋腱膜の連結を修復しました。

右のみ治療を行なった
考察
このようにまぶたの重さを感じているということは、ミュラー筋に負担がかかっている訳です。ミュラー筋の伸展刺激が眼輪筋の緊張を高めることが分かっています。つまり、この状態を放置すると眼輪筋の緊張の左右差が大きくなると予想されます。
Eplasty. 2014 Aug 12;14:e30.
Trigeminal Proprioception Evoked by Strong Stretching of the Mechanoreceptors in Müller’s Muscle Induces Reflex Contraction of the Orbital Orbicularis Oculi Slow-Twitch Muscle Fibers.
Matsuo K, Ban R, Ban M, Yuzuriha S.
- 年齢:30代
- 性:男性
- 手術:右側の挙筋腱膜修復術
- 皮膚切除:なし
- 脂肪切除:なし
- lateral horn リリース:half
- 下位横走靭帯:左右とも太く発達、リリースした
- 挙筋腱膜の滑り:右:0 (1) 2 3 4
- 挙筋前転:右:微量 6-0ポリプロピレンで2点固定
- ミュラー筋処理:左右ともなし
- 手術時間:20分
- 健康保険適応(k219-1)
眼瞼下垂症啓発目的に写真と動画を使用することに同意いただきました。ご協力ありがとうございます。(埼玉県の患者様)
追伸
それにしても、眉やまぶたに「きずあと」を持っている人って多いですね。そのほとんどが受傷時の記憶がないくらいの幼い時のものです。
やっぱり、幼い子供って転ぶんですよね。しかも頭デッカチで、おでこから落ちていくんですね。😱
そして、ぱっくり皮膚が割れるんです。
そこでどう治療するか?「縫合した人」「そのまま自然に治した人」に分かれます。
私は「縫合しない派」です。子供は注射を嫌がります。怖い思いをさせてまで縫合しません。テープで合わせます。
それで綺麗に治ることが多いのです。
万が一、傷跡が本人が気にするようになったらその時に形成外科医に相談しましょう。